トム ヨシダブログ


第207回 恵みの雨

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10月のYRSドライビングワークアウトは朝から雨

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そのうえ霧までわいてきて

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待ってもキリがないから全開で走りに走って

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雨でも霧でも躊躇しないと上手くなるから

晴れ男を自認していたのだけれど、今年は降られることが多かった。特に10月は。

もっとも、ユイレーシングスクールが目指す『上手い運転』は、根底にある『どんな状況でもクルマの性能を引き出せる運転』 がはずせないわけで、ウエット路面での練習は大いに歓迎すべきもの。散水車をレンタルする必要もないし。準備と後片付けはつらいけどね。

雨が降ると参加者に「今日はラッキーですね」、「今日はお日柄もよく」といつも言うものだから、常連はもちろん初めて受講する人もウエット路面に対する抵抗感は少ない。せっかく練習するのだから、操作が正しいかどうかはっきり結果の出る雨は願ったりかなったりではないか。

たまに、雨だと滑るとかたくなに思い込んでいてうかぬ顔をしている人がいるけど、雨だから滑るのではなくて、厳密に言えばクルマは絶えず滑りながら動いているものであって、雨だとドライ路面に比べて滑り方が違うだけだ、滑る量が増えて滑る速度が速くなるだけだ、と説明する。
滑る表現すると違和感を感じるかも知れないけれど、実際問題クルマは路面に張り付いて走っているわけではない。タイヤは路面に対して常にズレながら、つまり実際はごくわずかにこすれながらクルマを動かしている。でなければ、走行距離を刻んだタイヤが減るわけがないではないか。タイヤが路面とこすれるからグリップが生まれる。消しゴムのように。

だから、タイヤが路面とズレる状態を滑ると解釈すればいい。『滑りにくいはずのドライ路面』でも、ズレすぎないようにムズムズしていたフロントタイヤが堰を切ったように滑り出せばアンダーステアになって曲がらないし、遠心力を必死になってこらえていたリアタイヤがズレすぎて突然大きく滑ればスピンもする。

クルマ側から見ると、アンダーステアもオーバーステアもなんらかの操作をした結果であって、運転しているクルマが自然にそうなった、ということはありえない。

結局、『そうなりやすいウエット路面』が敬遠され、あるいは雨イコール滑りやすいと思い込まれているのだろうけど、実際は極端に操縦性が変化するわけではない。クルマの限界というものは我々が考えるところよりずっと上にある。
クルマの性能はそれまでと同じなのだけど、タイヤが接している路面のほうの摩擦係数が小さくなるので、タイヤが路面をつかむ力は低くなるし限界を超えた時の挙動も唐突になるのは事実ではある。だけど、短絡的に雨は危ないと決めつけて消極的になり、ウエット路面での操作を積極的に学ぼうとしない人が多いのはドライビングスクール主宰者としては残念だ。

結論を言えば、タイヤがグリップを損なわないように走れば雨でもドライの時に近い走りができるし、そういう操作ができることが安全につながり、サーキットでは速さを生む。そして、そういう操作は練習すれば誰にでもできるものだ。

考えればわかる。アンダーステアもオーバーステアも前輪か後輪の2本しか滑ってないではないか。クルマは自分の重さやとてつもなく大きな慣性力を4本のタイヤで支えながら走っているのに、『運転手の手違い』で前か後ろの1本だけ、あるいは2本に負担を集中させることになればタイヤが悲鳴を上げるのは当然だろう。そんな操作をすればドライ路面でも何かが起きる可能性があるのだから、ウエット路面なら目も当てられたものじゃない。

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全開で走っているうちに霧がはけ

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さらにドライになってペースが上がる

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最後には虹が参加者の頑張りを称えてくれて


では、どうすればウエット路面を克服することができるか?

タイヤが滑るのであれば4本が滑るような操作をすればいい。エネルギーが同じだと仮定すれば、2本だとこらえられない場面でも4本ならこらえられる可能性が高まる。2本だと滑る速さも速く、滑る量も大きくクルマがバランスを崩すかも知れないけれど、4本なら滑らないかも知れない。例え滑っても、それは穏やかなはずだから、大事には至らない場合が多いはずだ。ひょっとすると、滑ったこと自体気がつかないかも知れない。

だから、4本のタイヤをキチンと使ってあげるのが運転の基本だ。
そんな、タイヤ4本を使った走り方を身につけるお手伝いをするのがユイレーシングスクールのカリキュラム。

そういう走り方をイメージすることができて、実行する意思があれば、ウエット路面ほど楽しくて効果的な練習環境はない。
だから雨が降りそうな時こそ、ユイレーシングスクールに参加することをお勧めしたい。


◎ 翌日のYRSオーバルスクールも雨   雨なら雨でそれなりに

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冠水してたってタイヤが回っていればクルマは前に進む

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視界だけ確保しておけばクルマにまかせればいい

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次の日のYRSオーバルスクールでも虹をくぐって

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参加した人全員が大いにウエット路面を存分に堪能した2日間


第200回 ユイレーシングスクール教科書

8月最後のスクール、YRSドライビングワークアウトの参加者は6名だけ。昨年に比べると全般的に減っているが、それでも今年に入ってからの受講者は323名にのぼる。で、今年12月にユイレーシングスクール17年目が終われば延べ1万5千人あまりの方に運転の楽しさ、面白さをお伝えしたことになる。

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YRS教科書プリフェイス

ここ数年、初めてユイレーシングスクールを受講してくれる人が増えているのが大きな励みだが、数あるドライビングスクールの中でユイレーシングスクールを選んだ理由を聞いてみると、「教科書を読んで納得がいった」とか「教科書から方針が読み取れた」とか、ユイレーシングスクールの教科書が直接間接の動機付けになっているようだ。

なんでも合理的にモノが運ぶアメリカから日本に来てドライビングスクールを始めるにあたって、どの道、屋内制手工業的なスクールになるはずだったから、ユイレーシングスクールの主張をはっきりさせるために教科書を作って公開した。

84頁にわたるそれは、それまでの経験から、道具というクルマを動かす時のルールのようなものを自分で再確認するように作ったものだ。

遠方の人は教科書を呼んでユイレーシングスクールのCDを買って運転が上手くなったとメールをくれた。全頁をプリントアウトしてスクールの合間に読んでいた人がいた。実際のスクールを受けると教科書に書いてあったことが理解できたと喜んでくれた人がいた。

そんなユイレーシングスクールの教科書。もっとたくさんの人に読んでもらえると嬉しいと思い、ブログ200回目のテーマにした。

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YRS教科書目次

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YRS教科書3頁

200-5
YRS教科書29頁

200-6
YRS教科書37頁

200-7
YRS教科書41頁

200-4
YRS教科書49頁

200-8YRS教科書67頁

200-9
YRS教科書83頁

はっきり言って、時間のある時にでも読んで損はないと思います。そして知識と実技のギャップを埋めるのが練習です。教科書の内容を理解しやすいカリキュラムを用意しているユイレーシングスクールにも遊びに来て下さい。


第193回 参加者募集中、です

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6月のYRSドライビングワークショップで記念撮影
スクールが終われば笑顔、笑顔、笑顔

嬉しいことに、去年あたりからユイレーシングスクールに初めて参加してくださる方が増えてきた。

過去10数年。90%ぐらいの率で圧倒的にリピーターが多かった。リピーターがいけないというのではもちろんないのだけど、ユイレーシングスクールで運転に目覚めてくれる人がもっと多いといいな、と思っていたのも事実。

6月に開催したYRSドライビングワークショップには18名の参加があったが、うち8名の方が初めてユイレーシングスクールに参加してくれた。今週末のYRSオーバルスクールも14名の申込みがあって、うち4名が初参加だ。

参加された方がどんな動機でユイレーシングスクールを選ばれたか機会あるごとにお聞きして活動の参考にしているのだけれど、YRSドライビングワークショップに参加された方の回答を紹介したい。

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写真は過去のスクールから

【設問】
1:どこでユイレーシングスクールのことをお知りになりましたか?
2:数あるドライビングスクールの中でユイレーシングスクールに参加された理由をお聞かせ下さい。
3:ユイレーシングスクールのカリキュラムはお役に立ちましたか?
4:ユイレーシングスクールに対するご感想、ご意見をお聞かせ下さい。

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写真は過去のスクールから

【回答】
Aさん 33歳 男性 ロードスター
1:「ドライビングスクール」「サーキット」などのキーワードでGoogle検索しました。
2:レッスン項目と目的がしっかり記載されていて、いずれも腑に落ちる内容だったからです。
3:役に立ったと思います。レッスン帰路の交差点や高速道路から、タイヤのどこに荷重がかかっているのか意識するようになりました。
4:期待以上に楽しい一日で、また参加したいのですが、富士はちょっと遠いです・・・。ぜひ名古屋周辺でも開催してください(鈴鹿サーキットや、三河にも小さいサーキットたくさんありますので)。

Bさん 男性 フィット
1:インターネットです。
2:HPに公開されている教科書を読み、購入したCDを聴いた結果、基本からしっかり習いたいと思ったからです。
3:大変役にったったと、これから実感できる気がします。
4:一度では足りないので、できればまた参加したい。よろしくお願いします。

Cさん 男性 BMW650
1:Website。トヨタなど他もありましたが、拘りが感じられユイにしました。
2:1に記載
3:とっても役に立ちました。コーナリングの挙動がよく理解できました
4:また参加します!

Dさん 女性 トヨタオーリス
1:知人の方からすすめていただきました。
2:レースに参加されている知人の方に教えていただいたので。
3:およそのレベルごとに反復練習でき、程よい走行時間と休憩時間があり良いと思います。インストラクターの方がしっかり見ていらっしゃるのでたくさん直していただきました。また、理論的な説明が納得できます。
4:受講料はけして安くはないのでしっかり吸収しようと意識してがんばれます。また参加したいのでよろしくお願いいたします。

Fさん 男性 ポルシェ911
1:Googleでレーシングスクールを
2:場所と日程がぴったりだったので
3:考えるヒントになった
4:考えて試して感じる、と言う点では良かったけど、ちょっと忙しく感じたのでもう少し人数が少ないと良いかな?慣れると良いのかもしれないが初参加では出来ないことが多くて難しく感じた。楽しかったです。また参加したいですね。

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写真は過去のスクールから

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2016YRSパンフレット

理にかなった運転を身につけるために、あなたもユイレーシングスクールに参加してみませんか?


第192回 レースで腕を磨く

ユイレーシングスクールは卒業生を対象にレースを開催している。レースと言ってもライセンスも要らないし、ふだん乗っているクルマで参加できるし、観客もいないから、日本で一般に認識されている自動車レースとは少しばかり趣きが違うかも知れない。

しかし、『クルマを道具として用い、速さを勝敗の要因とする競技』という自動車レースの定義からすれば、れっきとしたレースだ。しかも知っている人は知っているけど、YRSスクールレースの常連はレベルが高くしぶとい。

なので、手軽に参加できる割に敷居が高いのだろうか、新規の参加者がなかなか増えない。そこで、6月と7月にレースデビューキャンペーンをやることにして、初めてYRSオーバルレースに参加する人には参加費大幅割引の特典を用意した。

で、6月のレースには4名のYRS卒業生がレースデビューを果たした。ユイレーシングスクールはレースに出ることもドライビングテクニックの向上に役立ちます、といつも言っているけれど、実際に初めてレースに参加した当人がどう思っているか、感想文を読んでもらったほうが手っ取り早い。今回は2名の方が送ってくれた。

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YRSオーバルレースはローリングスタート

・Mさん 51歳 VWポロ
今回、YRSオーバルレースを大変楽しませて頂きました。オーバルレースと言えばインディ500とかありますが、今まで全く興味なかったんですよ。それよりルマンとかニュル耐久レースの方が本物のレースと思っていました。がしかし、目から鱗でした。やはり食べず嫌いではダメですね。以下、私の感想です。
‐ まず、今回初めて参加の人達に、参加費用含めてハードルを下げて頂いたので気軽に参加できました。他の初めて参加者の方たちも同様のコメントされてました。従いまして、間口を広げるために継続されてはいかがでしょうか。
‐ いつも前後左右に車がいるため、常に360度注意を払いながらドライブをするよいレッスンになりました。
‐ 他の車がいつも近くにいるので相手との駆け引きみたいな状況が生まれて、考えてドライブする癖をつけるよいレッスンだと思いました。
‐ 相手が差し迫るとミスしがちですが、レースでもメンタルを冷静にする必要がありますね。勉強になります。
‐ サーキットの走行枠で走るのと違い、相手がいるので時にドライブのセオリーを無視した状況下に陥ることもままありましたが(コーナーで鼻先を先に入れたいがために突っ込み過ぎるとか)それも含めてレースなのかなと面白かったです。
‐ 車の性能差を気にせずレースが出来る安心感がありました。
‐ アイドルタイムが少なく多くのセットを周回出来るので、費用対効果大と感じました。(普通の走行会やレースだと20-30分2本とかで費用も高い)
‐ やはりFMラジオを通じてリアルタイムにアドバイスを頂けるのがためになります。(後でこうでしたよと言われても、もう忘れている場合がほとんど)
‐ みなさん、レースとはいえマナーが大変良いと感じました。私が参加する走行会では赤旗や、強引なせめぎあいなど気分を悪くするケースが多いのですが、それが無さそうですね。サーキットでのレースになれば変わってしまうのかもしれませんが。
‐ 都合が合えば、また参加したいと思います。
‐ オーバルのみならず、FSWのショートコースや筑波1000あたりでも開催して頂ければいつか参加したいです。


・Oさん 50歳 NDロードスター
先日のオーバルレースではお世話になりました。
1日中、自分的にはかなりの距離を走ることができ、昔に比べてクルマを制御するレベルは格段に上がったのではと認識しています。やはり、たくさん走れるのがユイレーシングスクールおよびレースの良い点かと思います。同じ動作の繰り返しで単調な部分はありますが、自身のスキルが低いこともあり、毎周違う状況が出てくるのでそれを克服し再現性を高める意識が出てくること、1周毎に失敗・トライと修正・改善を短時間のうちに繰り返しできること、クルマの限界部分の思わぬ挙動を余裕をもって対処しスキルが習得できること、がオーバルのメリットかと考えます。
一方で、こちらから取りにいかなければいけない部分かもしれませんが、自分が客観的に見てどのくらいのポジション・スキルにいるのかが可視化できればいいなとも思いました。参加しているクルマは同じ車種でも中身はそれぞれで、どのくらいが自分のベンチマーク・ターゲットなのかが容易に意識できるといいなとも感じました。
それから個人的な悩みですが、このままノーマルで走り続けるのがいいのか、少しはクルマに手を入れたほうがいのかよくわからないところです。自分の運転スキルを上げていくことが目的なので、経済的にあまり余裕が無い中、いじることより走ることにお金をかけた方がいいと思っていること、クルマをいじると自分のレベルアップなのかクルマのレベルアップなのかわからなくなること、からしばらくはノーマルのままで走っていこうと考えていますが、それでいいのかどうか正直よくわからないところです。
7月のレースもできれば参加したいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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性能差が表れにくいコースレイアウト

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動力性能が勝っていても抜けない

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自分がミスをせずに

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相手がミスをした時しか抜けない

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ノーマルの足でも

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SUVでも参加できる


7月のYRSオーバルレースもキャンペーン中です。YRSオーバルスクールを受講したことのある方はぜひ遊びに来て下さい。


第191回 なぜYRSドライビングワークショップなのか 最終回

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ユイレーシングスクールではテキスト形式のメールマガジンを発行しています。以下はその最新号の抜粋です。

『YRSドライビングワークショップでは午前中にスラローム、ブレーキング、フィギュア8の練習をみっちり行い、午後はYRSオーバルスクールのさわりの部分を体験します。午前中に練習した加速、減速、旋回に対するスロットル、ブレーキ、ステアリングの各操作を高い速度で連携させる練習です。

オーバル走行の最後のほうになると、ユイレーシングスクールに来るまでスロットルを全開にしたことがない人も、本人が納得しているかどうかは別として、十分なペースで走行します。たった一日とは言え、参加したみなさんが「失敗の数」を減らそうと努め、「うまくいったかな?の数」や「まぁまぁ成功の数」を増やすことをあきらめなかったからです。

ユイレーシングスクールを受講されたことのない方の中には、『速く走ることと運転が上手くなることと関係があるの?』と疑問に思う方がいるかも知れませんが、速く走ることのできる人は間違いなく運転がうまい人です。
速く走るということは、クルマが動く仕組みを頭で理解できていて、クルマをどう動かしたいかイメージができていて、クルマの動きを残さず身体で感じ、必要な操作を必要な時に必要な量だけ正確に行なえる、ということです。つまり速く走ること自体、ドライビングポテンシャルが高いことの証明です。

かって、YRSオリジナルビデオ用に「ドアンダーを出しているシーン」を悪い例として撮影しようとしました。しかし運転を担当したスタッフは、いつもアンダーステアに悩まされている受講生を身近に見てますから、その気分になってブレーキをドン、ステアリングをバキッとやるのですが、アンダーステアが顔を出すのはほんの一瞬。気をつけて見ていないとわからないレベルで、当然ながらアンダーステアの映像にはならずボツになりました。

つまるところ運転というものは実は考えてやるものではなく、自然に身体が動いてクルマを動かしているわけです。アンダーステアを出すということを、もはやイメージできないスタッフが無意識に修正してしまっていたのも無理からぬことなのです。その域に達することができれば、運転は間違いなく上手いと言えます。

クルマを運転するからには運転が上手いほうがいいに決まってます。そのほうが運転していて楽しいはずですし安全でもあります。楽しいと感じられれば、それだけ運転に必要な情報を取り入れることができます。『その域』に達するのは特別な人だけではありません。ステアリングを握っている人なら、誰でも『その域』に近づくことはできます。

日本ではスピードを出さないことが安全だと言われていますが、それは違います。高速道路を例に取れば、100キロしか出したことのない人が100キロで走るのは危険です。しかし150キロを体験していて、その速度でもクルマを意のままに操れる人が100キロで走るのが安全だとユイレーシングスクールは考えます。そこにクローズドコースであらゆる速度域での操作を練習できるドライビングスクールの存在意義があるのです。

何をもって運転が上手いと感じるかは人さまざまです。上手い下手よりも、「今よりクルマをもっと理解したい」と思っている方はぜひユイレーシングスクールに遊びに来て下さい。』

・YRSオーバルロンガー

クルマの動かし方に興味のある方は6月12日開催のYRSドライビングワークショップに遊びに来てみませんか。


第190回 なぜYRSドライビングワークショップなのか その3

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ユイレーシングスクールではテキスト形式のメールマガジンを発行している。以下はその最新号の抜粋です。

『YRSドライビングワークショップFSWでは午前中にスラローム、ブレーキング、フィギュア8の3つのコースを走ります。参加者を3班に分けて各コースを一定時間でローテーションするので、参加者は常に走りっぱなしです。もちろん、できるだけ反復練習の回数を増やして、「失敗の数」を減らし、「うまくいったかな?の数」や「まぁまぁ成功の数」を増やすためです。今回はフィギュア8についての話です。

二つの円の周りを八の字を描くようにできるだけ速い速度を保って回る。YRSドライビングワークショップのフィギュア8練習です。

速く走るためにはクルマが性能を発揮しやすい状態を創る必要がある。性能を発揮しやすい状況は理論的に最適な操作から生まれる。
加速をしたいのなら舵角はゼロのほうが効率がいい。定常円旋回中は加速ができないから、旋回を始める時の速度が重要になる。円と円を最短距離で結ばないとロスになる。アンダーステアではクルマが前に進まない。

つまり、半径22mの二つの真円を前にして、どう走れば理論的に最も速いかを探る過程でやるべきことが見つかり、それを実行する過程で具体的な操作ができるかできないかを検証し、なぜできないかの疑問を自問する過程で間違いなくクルマと貴方の距離が縮まる。そのために考案したカリキュラムだ。』

・YRS流フィギュア8
※少し長いですが(4分27秒)速くない走り方と速い走り方の違いを比較してみて下さい)

クルマの動かし方に興味のある方はYRSドライビングワークショップに遊びに来てみませんか。


第189回 なぜYRSドライビングワークショップなのか その2

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ユイレーシングスクールではテキスト形式のメールマガジンを発行している。以下はその最新号の抜粋です。

『YRSドライビングワークショップFSWでは午前中にスラローム、ブレーキング、フィギュア8の3つのコースを走ります。参加者を3班に分けて各コースを一定時間でローテーションするので、参加者は常に走りっぱなしです。もちろん、できるだけ反復練習の回数を増やして、「失敗の数」を減らし、「うまくいったかな?の数」や「まぁまぁ成功の数」を増やすためです。今回はブレーキングについてお話します。

ブレーキングの理想は、『そのクルマの制動性能の全てを使い、できるだけ短い距離で減速しクルマを止めること』です。それができれば公道での危険回避にも、サーキットを速く走るのにも役立ちます。

ですから、YRSドライビングワークショップのブレーキング練習は100キロぐらいまで加速して、できるだけ短い距離でクルマを止める練習をします。ところが練習を開始するとブレーキペダルを踏んでいるのに速度が落ちない例や、ABSが作動して制動距離が伸びてしまっている例がたくさん見られます。

実際の操作を見るすべがないのであくまでも想像ですが、「できるだけ短い距離」でという呪文に惑わされてスロットルペダルからブレーキペダルに一気に足を踏みかえると同時に踏み込んでしまった結果ではないかと。これでは制動距離を縮めることはできません。クルマが減速する理屈が無視されているからです。

クルマが減速するためにはタイヤのグリップが必要です。ブレーキローターとブレーキキャリパーが生む制動力よりもタイヤのグリップのほうが重要なのです。タイヤのグリップは加重が抜けていると少なくなっています。加重をかければタイヤのグリップは増しますが、急に加重をかけもそれだけ増加することありません。

理想のブレーキングは、ブレーキペダルにかける力=踏力の増加に比例して減速G=マイナスの加速度が立ち上がること、とも言えます。それを実現するためには、加重移動に敏感になり、加重の移動に合わせて踏力を連続して変化させられるようになる必要があります。

何度も何度もブレーキングの練習ができますから、いろいろ試せばいいのです。「ドカン」とブレーキペダルを蹴飛ばしたらABSが介入した。次は蹴飛ばすのをやめればいいのです。車速が思ったより落ちない。ブレーキング中に踏力を増やせば状況が変わるかも知れません。

試したことは身体が覚えてますから、どんなブレーキペダルの踏み方が《4輪が地面にはりついてクルマがめり込むような制動》をするかを探し続ければ、間違いなくクルマと貴方の距離は縮まります。』

・YRS流ブレーキング (スレッショールドブレーキング)

・YRS流ブレーキング (下手なブレーキング)

・YRS流ブレーキング Ver.2 (右足の動きがご覧になれます)

クルマの動かし方に興味のある方はYRSドライビングワークショップに遊びに来て下さい。


第188回 なぜYRSドライビングワークショップなのか その1

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ユイレーシングスクールではテキスト形式のメールマガジンを発行している。以下はその最新号の抜粋です。

『YRSドライビングワークショップFSWでは午前中にスラローム、ブレーキング、フィギュア8の3つのコースを走ります。参加者を3班に分けて各コースを一定時間でローテーションするので、参加者は常に走りっぱなしです。もちろん、できるだけ反復練習の回数を増やして、「失敗の数」を減らし、「まぁ成功の数」や「うまくいったかな?の数」を増やすためです。順を追って、なぜそのような練習をするかお話します。

まずスラロームです。20m間隔のスラロームでは連続してクルマの向きを変えなければなりません。クルマ側から見ると、一定の時間が経つとロールの方向が連続して逆になるということです。逆にロールするということは、大きなウエイトトランスファーを伴いますからクルマがバランスを崩しやすい状態にあるということです。イーブンスロットルでスラロームを行うならまだしも、少しでも速くスラロームを抜けようとしてスロットルをいじると、クルマには左右のローリングモーションに加えてピッチングモーションが加わります。クルマ側から見ると、絶えず4輪のグリップそれぞれが変化している状態です。と言うことは、そのクルマ本来のロードホールディングが期待できないということです。
そのため、速く走ろうとするとスラロームコースの先のほうで軌跡が変わりパイロンをクリアできなくなったり、それほど速度が高いわけでもないのにテールがスライドしたりするわけです。

ですが、スラロームを速く抜ける方法はあります。正確に言えば、『速度を落とさずにスラロームを抜ける』ことはできます。等間隔でパイロンが並んでいるスラロームでは加速を続けながら走り続けることは不可能ですから、まず1本目にアプローチした速度を維持することを優先します。
ブレーキは一切使いません。ギアは2速。スロットルのオンオフとステアリングだけでパイロンを縫って走ります。この時、対角線の加重移動をできるだけ少なくし、舵角を減らしてタイヤのグリップを加速に振り分けることができれば、速度を落とさずにスラロームを抜けることができます。慣れれば速度を上げながら抜けることもできます。

スラロームの練習の眼目は、「スロットルとステアリングの操作とクルマの動きを連携させること」にあります。
スロットルを開けている時間がほんの少しでも長いとステアリングをバキッと切らなくてはいけなくなります。アンダーステアを出さないためにゆっくりステアリングを切ろうとすれば、速度を落とさざるを得ません。状況は様々です。
クルマの動きを感じながら、どのくらいの瞬間、どのくらい強くスロットルを踏むか。ゆっくり切り始めてどこまでステアリングを回すか。果たして瞬間的にステアリングを戻せるまでに回しているか。

うまくいかなくてもいいんです。クルマが性能を発揮しやすい操作がイメージできて、それに向かう努力を絶え間なくできれば、それから外れないように意識することができれば、外れたと感じたら次の次のパイロンまでに修正する覚悟ができれば、間違いなくクルマと貴方の距離は縮まります。』

・YRS流スラローム動画 その1 (漫然とした操作とクルマが性能を発揮しやすい状況を意識した操作の違いをご覧になれます)

・YRS流スラローム動画 その2 (速度を上がられない走り方と上げられる走り方の違いをスローモーションでご覧になれます)

クルマの動かし方に興味のある方はYRSドライビングワークショップに遊びに来て下さい。


第187回 遊び場と遊び方

クルマを思い通りに操る方法を理論と実技を通して会得してもらうことが第一義的な目的ではあるけれど、それと平行してクルマの運転を楽しむための遊び場作りと遊び方の構築もユイレーシングスクールの大切な役割だ。

今回、筑波サーキットにあるオートレース選手養成所のコースが使えることになったので、YRSオーバルレースとYRSオーバルスクールの開催を計画した。YRSオーバルコースとしては10番目にあたる最も曲率半径の大きなコース。しかも、5%とは言えバンクつきのコースは初めて。

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パイロンの列から右手の白線まで13mあまり

とにかく広いオートレース用のオーバルコース。イン側とアウト側の白線の間が30m。イン側の白線で測ってコーナーの半径は52m。それに対して直線が87m弱しかないから、走ろうと思えば真円に近いラインを選べる。しかしクルマを操る醍醐味は加速減速旋回の流れをどう組み立てるかにあるわけで、今度はどんな遊び場にしようか悩んだけれど、最終的に図のようなレイアウトにすることにした。

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開催案内に添付したYRSオーバル筑波のコースレイアウト

直線もコーナーもイン側の白線から13.3mのところにパイロンを並べることで、コース幅を狭くしてアウト側の曲率半径を小さくした。結果としてターンインで明確な減速が求められることになり、かつパイロンより外側に十分なセーフティゾーンを設けられた。実はアウト側白線の外側にもフラットではあるけど10mのスペースがあるので安全性は十分。

バンクのあるオーバルコースでレースをやるために集まったのは25名。全員がYRSオーバルスクールの卒業生でありYRSオーバルレース経験者。

バンクがついているオーバルコースを走るとクルマの特性が変化する。遠心力が垂直加重によって殺がれるために走りやすくはなるけど、反面、限界付近の挙動が走り方によって変わる。そんなアドバイス聞きながらも、全員が初めてのバンクトオーバルに目がらんらん。みんな、やっぱり走るのが好き。

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メガーヌRSのH4さんとルーテシアRSのKさんも参加

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同じクラスで丁々発止

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動力性能や走行特性だけでは有利にならないのがオーバルの特長

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ロードスタークラスのプラクティス

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ロードスタークラスのヒートレース

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タイヤの負担を考慮して左右両回りで

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オーバルコースでスライドは損なんだけど、たまには先を急ぐあまり

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レースが終われば全員であ~でもないこ~でもない

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で、あちこちで笑顔が炸裂

この日。中心線で測って1周541.8mのYRSオーバル筑波を最も速く周回したのはIさんのポルシェ ケイマン4。17.884秒がベストラップだから平均時速109.063キロになる。参加台数が多かったロードスタークラスのベストはNCに乗るOさんの18.677秒で平均時速が104.432キロ。コーナリング速度が高いだけあって、1Gぐらいの横Gが6~7秒続くのは得がたい体験。
なんだかんだで大いに盛り上がった初のYRSオーバルレース筑波。プラクティスからレースまで、多い人は時計回りに102周半時計回りに122周の合計224周したとか(ということは121キロも走った!?)。
※以前紹介したGPSラップには既にYRSオーバル筑波のコースがロードされているので周回数、ラップタイムの計測が可能です。


◎ そんなYRSオーバルレースを運転席から見ると (Mさんの車載ビデオから)

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翌日はYRSオーバルスクールを同じコースで開催。ユイレーシングスクールに初めて参加する人2名を含む19名がYRS史上初めての高速オーバルコースに挑戦。もちろん全員が運転を楽しみ、終わりごろにはかなりのペースで走れるようになりました。

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サーキットを走ったことのない方も11時間以上のベテランも

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新しいクルマも古いクルマも

2日間。わいわいがやがや楽しいYRSオーバル筑波でした。オーバルレース参加者もオーバルスクール参加者も初めてのバンクトオーバルに大喜び。新しい遊び場と遊び方をすっかり気に入ってくれたようです。


◎ YRSオーバルレースの合間にルーテシアRSで走ってみました
(前を走るのはカメラカーです)

YRSオーバルレース参加者の大森さんにカメラを積んでもらいました

6月11日(土)に富士スピードウエイでまだ参加したことのない方に特典のあるYRSオーバルレース(開催案内)を開催します。興味のある方はぜひ遊びに来て下さい。
翌12日(日)は同じく富士スピードウエイでYRSドライビングワークショップ(開催案内)を開催します。クルマを思い通りに動かす練習をします。安全に粋にクルマを走らせたい方はぜひ遊びに来て下さい。


第183回 鈴鹿サーキットとルーテシアRS

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YRS鈴鹿サーキットドライビングスクールの合間にコースを2周。走行距離は少し短いけどピットアウトからピットインまで6分16秒だから、ルーテシアRSシャシースポールの実力がわかろうというものだ。

ルノー・ジャポンから借りているこのルーテシアRS。タイヤはもちろん、どこもいじっていないけどポテンシャルパフォーマンスがすごく高い。お世辞ではなくて。
ただ、ルーテシアRSシャシースポールの性能を味わうにはそれなりの操作が必要になる。オーナーの方はぜひユイレーシングスクールに来てみてほしい。

※1周目のスプーンを立ち上がってからしきりにリアビューミラーを覗いているのは、ついてきた受講生がコースアウトしたので状況を確認してたから。無事コースに復帰したけど。