トム ヨシダブログ


第22回 運転は上手くなればなるほど楽しい

 

昨年からスクール開催日に雨が降ることが多い。年間50数回開催して降られたことがない年もあったのだが。雨の中にたたずむトゥインゴGT。

今年予定しているドライビングスクールも残りわずか。11月にはユイレーシングスクールの12年目が終わる。
12年もの間、よくも受講生に同じことを言い続けてきたものだ、と思う一方で、年々受講者数が減っていることに危機感を覚える。世の中ではクルマ離れとか言われているけれども、その影響なのか。

初参加の方のルーテシアRSと並んで。

ともあれ、ユイレーシングスクールにはまだまだクルマが好きで、運転が大好きな人が集まってくれる。
9月末のオーバルスクールには13名が参加。最年長が63歳。平均年齢44歳と若者とは呼びにけれども、運転を楽しみたいという思いが純粋にあふれている方ばかり。クルマはロードスターからポルシェGT3まで実に様々。

いい天気だし、せっかくだから参加者に並んでもらって記念撮影。

楕円形のコースをぐるぐる回ってどこが面白いの、という声もあるそうだが、今回は5名がユイレーシングスクール初参加。中には8年もオーバルスクールに通ってくれているベテランも。
オーバルスクールの特徴はコースレイアウトが単純だから、走るのに初心者でも敷居が高くないこと。ところが、わずか10数秒の間に2回コーナリングを行うわけで、クルマの加速、減速、旋回の機能を発揮させるのが目的だから、ベテランに言わせれば上手くいくことのほうが稀ということになる。

しかし、しかし。それは考えすぎ。何10回もいろいろな形のオーバルコースを走っているベテランが「気持ちよく回れたラップなんかほとんどない」と嘆いたとしても、四半世紀以上クルマの運転を教えてきた経験からすると、ユイレーシングスクールに参加したことのない人に比べれば、彼らのドライビングポテンシャルは十分に高いと断言できる。
そう。彼らの悩みは、もっと上手くなりたいと思う気持ちの裏返し。十分に上手いのにさらに先を目指す。ひとつのことに集中するのは最近の流行りではないかも知れないけれど、彼らは一生の間好きなクルマで傷ついたり、好きなクルマを傷つけたりはしないはずだ。

初めてオーバルコースを走った人も、まず「上手くいかない」と言う。思うようにクルマが動いてくれないと訴える。しかし心配は無用。1回でもオーバルスクールの洗礼(?)を受けた人は、まずクルマがいやがる操作をしなくなるし、ユイレーシングスクールの目的は操作に正解を求めるのではなく、その人の運転力を目覚めさせることなのだから。
だから、初めての体験に戸惑う参加者には『今日初めてやることだからできなくて当たり前なんです。正解を求めずに、あれも間違いではない、これも間違いではない、それも間違ってはいなかった、なぁんて運転を目指してみて下さい』と言うことにしている。

大好きなクルマが思い通り動いた時が嬉しいのではなく、思い通りに動かしたいという気持ちを持ち続けることこそが楽しい。だから上手くなる。ユイレーシングスクールはそう考えます。

数年前までは数えるほどしか、それも古いルノーばかりだったが、最近ではオーバルスクールでも、

サーキットを使ったドライビングスクールでも見かける頻度が高くなった。実際、このブログを目にして参加を決めた方が多い。

※ルーテシアRSとメガーヌRSに乗っている方。2台ともフロントアクスルに特長があるので、一度ユイレーシングスクールでステアリングワークについてのウンチクを聞かれることをお勧めします。

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ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

○ 11月20日(日)YRSオーバルスクール FSW 案内頁&申し込みフォーム

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第21回 クルマと自分を制御する


トゥインゴGTで筑波サーキットコース1000のインフィールドを走る。
トゥインゴの足はたいしたもんだ。ちゃんと動くし破綻することがない。
(画像は全て中沢隆志氏撮影)

今年のF1グランプリはいつになく面白い。理由はいくつかあるが、外撮りにしろオンボード映像にしろドライバーがとてつもない次元でクルマをコントロールしているのを見て、ついついソファから立ち上がってしまう。特にセバスチャン・ベッテルのブレーキングやカウンターステアは汗ばむほど刺激的だ。
なぜ彼らはあれほどの速度であのような操作ができるのか。他のスポーツのトップアスリート同様、むしろそれ以上に反射神経がすぐれているからだろう。限界で走りながらも数秒後、いやコンマ何秒後に起きるだろうことを予測する想像力にも秀でているに違いない。最大4Gと言われる加速度にも翻弄されない強靭な身体を持ち、それでいてクルマの動きを連続的に把握することもできるのだろう。
日本のメーカーがF1から撤退してからというもの我が国での露出は減ってしまったが、F1ドライバーの運転はクルマが好きな我々にとってあこがれであることに変わりはない。


富士でも筑波でもサーキットを使ったドライビングスクールではスラロームの練習をする。
狙いはローリングとピッチングを自分の操作で制御すること。

しかし、我々も彼らのようにクルマを思いのままコントロールすることはできる。
もちろん速さも加速度もはるかに及ばない次元での話ではあるが、逆に、彼らの日常にある速度は我々にとって現実的ではない。我々が経験できる速度域ならば、我々もF1ドライバーよろしくクルマを自由に操れるという意味だ。

クルマの運転は、F1も含めて、陸上競技などのスポーツと決定的に違うことがある。それは運転している間は身体のどの部分も地面に接していないことだ。
足が地面に接していれば地面が滑りやすいかどうか感じることができる。スキーをする時もスキー板を通してゲレンデの勾配を感じられる。歩いていれば、向かい風なのか追い風なのか自分が置かれている環境も把握することができる。
ところが、いわば密室であるクルマに乗っていて、なおかつ身体のどこも地面に接していないとなると、自分が動いているという状況を感じることすら難しい。まして、路面の状況を知り、タイヤのグリップの限界を探ろうとすることなど至難の業だ。

そんな現実から逆算すれば、クルマの運転に大切なことが見えてくる。
我々はF1ドライバーではないのだから、類稀な反射神経を備えている必要はない。大切なのは自分が何かの操作をしようとする時に、クルマの状況が把握でき、どれだけの操作をどのタイミングですればいいのか正確に判断ができることだ。
だから、クルマの運転で最も大切なのがドライビングポジションということになる。


もちろん、走行の合間にミーティング。
操作とクルマの動きの因果関係をわかりやすく説明する。

地面に触れていないのだから、クルマの状態や路面の状況を判断するにはシート、床、ステアリングホイールからの圧力の変化と、自分自身で感じる加速度を頼りする以外にない。それなのにシートの上で身体が踊っていたり、ステアリングホイールをぎゅっつと握りしめていたらどうだろう。
少なくとも路面からの情報が正確に伝わらないばかりか、どれだけの操作をしたらいいのか判断もつかないだろう。

速く走ろうとする人が陥る罠がここにある。頑張ろうとする気持ちが身体を硬くして加速度に翻弄されてしまうのだ。
S字コーナーで切り替えしが遅れる人は、まず背骨がシートバックとずれている。オーバルコースや長いコーナーを走っている時に、それまでより肩の位置が高くなる人も同じ。操作をする時に身体も動いてしまっているから、操作のタイミングが遅れるし、操作量も適切ではなくなってしまう。


参加者を乗せての同乗走行。コース1000の最終コーナーを立ち上がる。
同乗走行の目的はクルマが常に安定している状態を身体で覚えてもらうこと。

自動車レースの職業運転手を目指すのでなければ反射神経の鈍さを嘆く必要はない。正確な操作をしやすいドライビングポジションを探し続ける努力をすれば、クルマと一体になれる可能性はある。クルマと一体になった時、クルマの動きがよくわかり、どんな操作をすればいいかが見えてくる。
だから、ユイレーシングスクールではサーキットでのドライビングスクールで高速スラロームをカリキュラムに取り入れている。速い切り替えしを目指すことで力の入れ所、入れ具合がわかってくる。

この高速スラロームを体験した人はいちように「面白かった」と言う。せひ皆さんも体験してほしい。


コース1000の1コーナーを抜ける。写真ではわかりにくいが1G以上の横Gがかかっている。

※ユイレーシングスクールでは運転にまつわる質問にお答えします。匿名でかまいません。クルマの動かし方に疑問のある方は以下のアドレスにお送り下さい。このブログで回答させていただきます。
・ユイレーシングスクール03ma@avoc.com

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ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
特に10月のツーデースクールはオススメ。1日目にジムカーナ場で基本操作を反復練習し2日目にショートサーキットで少し速い速度での走行を体験します。2日間でクルマとの対話が進むことは請け合いです。

○ 9月8、9日(土、日)YRSツーデースクールFSW 案内頁

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=2ds

○ 10月16日(日)YRSドライビングワークショップFSW 案内頁

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=dwf

○ 10月20日(木)YRS筑波ドライビングスクール 案内頁

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=tds

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第20回 姿勢を正す


渡米する前からお世話になっていた扇屋旅館。4階にある富士山の全貌が一望できる大浴場がスキ。

クルマを運転するということは、クルマに乗って自分自身も移動しながらスロットル、ブレーキ、ステアリングを操作してクルマを走らせることだ。当たり前のことだが、運転とはそういう行動を指す。
よくできた機械であり無機質のクルマを、あいまいさが身上(?)の人間が操るのが運転でもある。だから運転は楽しいし、奥が深い。

ユイレーシングスクールではクローズドコースを使って速く走るための練習をしている。操作とクルマの動きの因果関係を経験するには、とりあえず速く走って見ることが近道だからだ。
そして過去11年間。ほぼ毎年新しいカリキュラムを導入してきた。リピーターに飽きられないよう(!)に次のステップを用意するためだ。今回、あるクラブ向けにドライビングスクールを行ったのを期に、来年導入を予定している8の字型コースを使ったカリキュラムを試してみた。題してフィギュア8。

ユイレーシングスクールの目玉であるオーバルスクールと異なり左右の切り返しが必要になる分、参加者がどう対応するか少しばかり不安があったが、これが大成功。参加者はクルマの運転を楽しみながら、かなりのレベルまでクルマを安定させて走ることに成功していた。


時間の節約のために2台ずつ走る。

操作自体にも言えることだが、安全な運転と速く走るための運転には共通した思想がある。クルマを常に安定させて走らせなければならない点だ。
クルマは動き出すとスロットル、ブレーキ、ステアリングの操作に反応し、ピッチング、ローリング、ヨーイングの3つの動きをする。結論から言うと、クルマが不安定になるのは2つ以上の動きが重なる場合がほとんどで、操作が重ならないように運転することができればクルマは安定して走るように作られている。
速さをテーマに走ることで少しばかりクルマを不安定にして、そこから逆算してどんな操作がクルマを安定させるかを体験するのがフィギュア8の目的だ。


必要に応じてスタッフが引っ張る(リードフォロー)。

1周27秒ほどの周回の中に2回ないし4回のブレーキングと、少なくとも4回のステアリングワークをしなければならないのだから忙しさは確かにある。しかし人間の学習能力というものは大したもので、周回を重ねるうちに速さに逆行するような操作を自然にひかえるようになる。
つまり、速く走ろうとするからこそ、クルマを安定させるコツがわかるという次第。


走行中のタイムを1000分の1秒まで計測してリアルタイムアドバイスとともに伝える。

ところが、慣れてくると走行中に読み上げられるタイムを縮めようとしたくなる。欲を出して頑張ると、途端にタイムが落ちる。どこかで操作が重なり、クルマが不安定になって失速してしまう。言うまでもなく、速く走ろうとしたあまり、クルマの状態を無視した操作をしてしまったからだ。
それでも広い場所に作ったパイロンコースを走っているのだから危険はない。


追う方と追われるほうがそれぞれにクルマをコントロールする。

2台連なって走ると、これまたクルマのバランスを崩しやすくなる。前を走るクルマに追いつこう、後のクルマを引き離そうとクルマの状態おかまいなしに欲を出した時だ。クルマはよくできた機械だから、操作(入力)された通りに動く。操作が理にかなったものでなければクルマがバランスを崩すのは当然のこと。人間の勝手な欲を受け入れてくれるほどクルマは寛容ではない。

ユイレーシングスクールは安全に配慮した会場でしか開催しないから、操作を間違ってもクルマが傷つくことはない。傷つくのは欲を出した当人の自尊心ぐらいなものだから心配は無用。免許取り立ての人も運転経験豊富な人もぜひ一度ユイレーシングスクールに遊びにきてほしい。

自分でこうしたい、と思ってもクルマがそうならない場面というのは無数にある。そうしたいのならば、クルマがそうなるような手続きを踏む必要がある。その手続きこそ安全運転につながるものであり、ユイレーシングスクールがクルマ好きの人に身につけてほしいと思っている思想だ。
今年12月18日(日)。今回試したフィギュア8を一般向けに開催しようと思っているところだ。

※ユイレーシングスクールでは運転にまつわる質問にお答えします。匿名でかまいません。クルマの動かし方に疑問のある方は以下のアドレスにお送り下さい。このブログで回答させていただきます。
・ユイレーシングスクール03ma@avoc.com

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ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

○ 9月18日(日)YRSオーバルスクールFSW 案内頁

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第18回 タイヤを使う

  オドメーターは13,000キロを超え、トゥインゴGTはますます快調。
  街中を4速で走行中にわずかにスロットルを開けてやると聞こえる、かすかに聞こえる「ヒュィーン」という過給の開始を告げる音が心地よい。

久しぶりの奥伊吹スキー場。木々の緑も深まり夏。

  さて、7月に開催した今年2回目のYRSオーバルスクール奥伊吹の合間に、トゥインゴGTにデータロガーを取り付けて走ってみた。
  YRSオーバル奥伊吹はパイロンを並べて作った半径21.5mの半円を60mの直線で結んだ楕円形のコース。加速、減速、旋回が繰り返されるオーバルコースを速く走ろうとした時、クルマにはどんな加速度が生まれているか検証する。
 
  搭載したデータロガーはパフォーマンスボックスと呼ばれるGPSからのデータを記録。パソコンにダウンロードしたソフトで解析するもの。シガーライターを電源とする簡単なものだが、走り方を解析するには十分なデータを提供してくれる。

 

ウインドシールドの裏側に吸盤で取り付けるだけの簡単なデータロガー

  ユイレーシングスクールではスクールのたびに「どんなに高性能なクルマでもタイヤのグリップを超えて速く走ることはできない」、「安全に走るためにもタイヤのグリップを維持する技術を身につける必要がある」と説明する。またクルマ側から見ればタイヤのグリップとは4本のタイヤのフリップの総和のことだから、4本全てのタイヤのグリップを損なわないような操作をする必要がある、とも説いている。
  どんな時にグリップを損ないやすいか、という話は別の機会にゆずるとしてデータを見てみよう。下の図はYRSオーバル奥伊吹をインベタで走った1周260数メートルの速度と走行位置を示している。それにその時々のクルマの状態を描き加えたものだ。

 

縦軸に速度。横軸に距離を示す。右の図はクルマの位置を示す。

  40数キロでコーナリングしたトゥインゴGTはコーナーが終わる頃から徐々にスピードを上げ、このコースの最高速度70数キロに達する。
  60mの短いストレートのなかばで加速から減速に転じ、トレイルブレーキングを使いながらコーナーに進入。テーマが『できるだけコンスタンとに速いペースで走る』ことだから、コーナーの中で失速しないようにスロットルとステアリングを慎重に操作する。
  どの位置で、どの位スロットルを開けると『クルマが前に進む』かを感じながら、次のストレートに向けてスロットルを開ける。
  たかが1周16秒弱の箱庭みたいなコースではあるけれども、テーマを持って走ると見えなかったものが見えてくる。
 
  余談ながら、YRSオーバルスクールでは同じようなコースを1日に70周以上する。140回以上のコーナリングの練習をする。コーナリングの仕方だけでなく、タイヤのグリップを探る方法を知りたい方はぜひ参加してみてほしい。

  次の図は全く同じ周回のグラフに横Gのデータを取り込んだものだ。クルマの位置関係がわかりにくいかも知れないが、前の図と照らし合わせてみてほしい。

 

赤い線が速度。青い線が横Gを示す。

  図から0.7~0.8Gほどの横向加速度を受けながらコーナリングしているのがわかる。ちなみに最初のコーナーの横Gが比較的小さ目なのはこのコーナーの部分が駐車場で最も低いからだ。
  トレイルブレーキングを使ってコーナーに進入し、コーナリングの姿勢ができたら右足をスロットルペダルに戻してクルマをイーブンスロットルの状態にする。前後の荷重を均一にして4本のタイヤのグリップ全てをコーナリングに振り分けるためだ。

  次の図は同様に速度を表すグラフに加減速Gのデータを読み込んだものだ。

 

赤い線が速度。青い線が加減速Gを示す。

  コーナーを抜けて加速する。加速度はおおむね0.3Gほど。次のコーナーを回れる速度まで落とす時のマイナス加速度が0.5Gほど。
  コーナリング中の加速度に波があるが、これはヨーモーメントが発生していることを示す。原因としては、舵角とスロットルの修正に路面からの外乱が加わり、さらにトゥインゴGTの場合はトラクションコントロールの介入もある。
  しかし波はあるもののその区間の速度がほぼ一定だから、クルマ自体は安定してコーナリングしていることを示している。

  さて、この2つのグラフには安全にクルマを動かすために必要な操作のヒントが全て込められている。クルマ側からの視点に長けていれば、2つのグラフからそんな操作をしたらいいのか導きだせるはずだ。時間がある時にでも、あれこれ想像してみてはどうだろう。走り方を考えるのもクルマを動かす楽しさの一部だ。

  で、今回のまとめ。
  ■加速性能はクルマで決まる。とりあえず加速に関してタイヤのグリップが不足することはない。あるとすれば、発進加速の時か雪道を走る時だ。安心してスロットルを床まで踏んでもかまわない。なぜならば、タイヤの回転する方向と加速度の向きが一致しているからだ。
  ■どんなにすぐれた制動性能を備えたクルマでも、基本的な減速性能は運転手の技術によるところが大きい。制動性能をいくら大きくしても、それが大きなマイナス加速度とイコールになるわけではない。減速時にはタイヤの回転方向と加速度の向きが正反対だから、制動力の立ち上げかた(=踏力のかけかた)しだいでタイヤは簡単に限界を超える。
  ■コーナリングの速さは、間違いなく運転手の技量によって決まる。コーナリングでは加速度がタイヤの回転方向に直角に働く。しかし動いているクルマには加減速の加速度も加わっている。この2種類の加速度を合計すると、ほんのわずかな操作が原因でいとも簡単にタイヤのグリップの限界を超える場面に出くわす。
  ■タイヤには静的なグリップと動的なグリップがある。もちろんクルマを走らせているのは動的なグリップだ。しかし動的なグリップは絶えず変化する。タイヤにかかる全ての加速度の合計が、『その瞬間のタイヤのグリップ』を超えないような操作がクルマを安全に走らせる。

  クルマを運転する人全員が速く走る必要はない。しかしクルマを安全に走らせるためには、タイヤのグリップを超えない操作を知る必要がある。タイヤのグリップの範囲内でクルマを動かせるようになるためには、その人が速く走るつもりのない人であっても、今のところ、速く走る方法からひも解く以外にはない。だからドライビングスクールが有効なのだ。

※ユイレーシングスクールでは運転にまつわる質問にお答えします。匿名でかまいません。クルマの動かし方に疑問のある方は以下のアドレスにお送り下さい。このブログで回答させていただきます。
・ユイレーシングスクール03ma@avoc.com

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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

○ 8月28日(日)YRSドライビングワークショップFSW 案内頁
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=dwf

○ 8月30日(火)YRSドライビングスクール筑波
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=tds

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第17回 クルマはタイヤでしか走らない

 
  田植えも終わり、富士山も初夏の装い。 

 ず~っと昔。「クルマはタイヤで走ります」というタイヤメーカーのCMがあったと記憶する。
  そのメーカーが何を意図してそのCMを流したかはわからないが、クルマを運転する者はみな、このフレーズを頭に入れておいたほうがいいし、ドライビングスクールを主宰する身としては、そんなCMが復活してほしいとさえ思っている。 

  

サスペンションの第一機能はタイヤを地面に貼り付けること。  

 
  クルマにはタイヤの存在が不可欠なのは誰にでもわかるが、その性能を発揮するのにはタイヤが路面をつかまえる力=グリップが必用なことをきちんと認識している人は少ない。
  グリップがいいタイヤを履けば速く走れると単純に信じていたり、その特性を知らずにかっこうだけを理由に超扁平タイヤを履いてみたり、グリップの本質から離れたところでタイヤと向き合っている。タイヤはクルマが機能するために欠かせないものではあるが、それでも、クルマを構成する部品のひとつ。それだけをいじってもクルマの性能が向上するわけではない。まして、クルマを走らせるのが『曖昧な人間』ときているから、人間が間違いを犯せば、いくらグリップのいいタイヤを履いていてもクルマが言うことを聞いてくれるとは限らない。
  「今度はグリップのいいタイヤを履いたからタイムアップは間違いなし」と言い切ったのに、それまでのラップタイムを更新できなかった人。小さくなった扁平率が操縦性にどんな影響を与えるか、考えもしないでアンダーステアを出しまくっている人。ユイレーシングスクールではほとんど見かけないが、日常的にそんな例は枚挙にいとまがない。  

 


 タイヤの使い方によるコーナリング3態。 

 
  クルマが走る時。クルマには必ず加速度が働いている。加速中にはプラスの加速度。減速中にはマイナスの加速度。旋回中には遠心力。その加速度は速度とともに変化し、それに車重を加えた大きなエネルギーを支えながらタイヤは仕事をしている。
  路面をつかまえることがタイヤの仕事の全てだ。しかし、タイヤのグリップは無限ではない。加速度の大きさと向きによってはタイヤが支えきれない場合があってもおかしくない。人間がそうしたいと思っても、そうならない場合があるのはそのためだ。
  だから、発想を変えて、どうしたら『グリップを損なわない』操作ができるかという視点でクルマを動かすと、クルマは人間の言うことを聞きやすい。特に、1輪だけでなく4輪全てのグリップを常に維持することを念頭におけば、クルマにとって正解となる操作の方法が見つけやすい。 

 


 走行状態によっても前後タイヤのグリップレベルは変化する。 

 
  昔に比べてクルマが高性能になり、タイヤの性能が格段によくなった。確かに我々人間にとっては嬉しいことだが、だからと言ってクルマ任せ、タイヤ任せでクルマを走らせられると思うのは間違いだ。逆に、高性能と安全という言葉が人間に油断をさせてはいないかを考えてみる必要がある。

  クルマの運転はそれだけで無条件に楽しい。しかし、クルマの動かし方、それはタイヤの使い方であり、4輪のグリップを維持する方法なのだが、それを知れば運転はもっと楽しくなる。

  ひとりでも多くのクルマ好きに運転の楽しさを知ってほしい。それがワンボックスであろうと、SUVだろうと、タイヤが4本ついていればどれも同じ。タイヤの使い方を知りたい人、もっと楽しく運転したい人。ぜひユイレーシングスクールに参加してみてほしい。 

 


 訪れるたびに違った表情で出迎えてくれる富士山。いいね。 

 
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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
   
■ 7月23日(土)YRSオーバルスクール奥伊吹 案内頁
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=oso

◆ 7月28日(木)YRSドライビングワークショップFSW 案内頁
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=dwf

■ 7月29日(金)YRS + エンジン ドライビングレッスン
エンジン(03-3267-9681)編集部にお問い合わせ下さい。

■ 7月30日(土)YRSオーバルレースFSW
http://www.avoc.com/2race/guide.php?c=sr&p=yor

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第16回 YRS + エンジン ドライビングレッスン

ユイレーシングスクールはエンジン編集部とタイアップしてドライビングレッスンを開催している。初めて開催したのが2003年だから、かれこれ9年続いている。5月末には38回目のエンジンドライビングレッスンを開催した。
 
  この企画を持ち込んだのは、大人の遊び心の増幅に力点を置く雑誌エンジンの読者に、『所有欲から使用欲への転換』を訴えてみたかったからだ。
 
  編集部には、『クルマをただ所有するだけでなく、クルマは道具なのだからトコトン使い倒す方法を教えることを読者サービスにしませんか』と提案した。ご自身も走ることが好きな鈴木編集長の快諾を得て、日本ではまれな、雑誌を母体としたクルマの楽しさを存分に味わう場を提供することになった。

リードフォローにトゥインゴGT大活躍の図。
 

  エンジンドライビングレッスンのカリキュラムは、当時筑波サーキットの委託を受けて開催していた筑波サーキットドライビングスクールをアレンジしたもの。午前中にジムカーナ場にパイロンで作ったオーバルコースをひたすら回り、クルマを安定させて走るための操作に慣れ、午後は1周1キロメーター強のコース1000に移動してサーキット走行。
 
  クルマを速く走らせたことのない人も、最初のオーバル走行でアンダーステアを経験し、操作によってはクルマが曲がらないことを覚える。1周14秒ぐらいのコースだから7秒に1度はコーナリングをするわけで、加速・減速・旋回の流れが身体にしみ込む。
  コース1000を走ったことのない人をクルマに乗せて、サーキットを走る時の注意点などを話ながらバンライド。自分で運転しているのではないから、サーキットの景色がよく見える。続いてインストラクターが運転するクルマの後に連なって、ライン取りやブレーキングポイントのタイミングを練習するリードフォロー。できるだけ車間距離をつめて走ってもらい、自分で考えずに前のクルマの「真似」することに集中してもらう。

セッションごとのベストラップを集計。傾向を把握し、さらにカリキュラムを練る。
 

  一連の流れの中で、サーキットを走ったことのない人もそれなりに走れるようになる。それなりにというのは、ラップタイム自体は遅くても、クルマを安定させて走れるという意味。気負わずに、クルマと対話しながら走るから、クルマの高い性能の恩恵にあずかることができる。結果としてエンジンドライビングレッスンではコースアウトやスピンはほとんどない。そして、安定して走らせることを身体が覚えれば、次のステージに進むことができる。
  ベテランの人も、ひとつずつステップを踏むことでリズムができるから、以前の経験を引き出しやすい。セッションが進むにつれて、短時間で運転がこなれていく。

  クルマはこうしようと思っても、そうならない場合がある。それは、こうしようと思った時に人間側がそうする準備をしていなかったり、クルマ側がそうなる状態になっていないから。クルマの動きを感じ、クルマにそう動いてもらうための手続きさえ怠らなければ、クルマは意のままに動いてくれる。だから自動車。

  速く走ることが危険なのではなく、クルマの動かし方を知らないまま運転することのほうが危ない。速く走るためにはクルマをキチンと操作することが求められるわけだから、その意味で、速く走ろうと努力することは安全に運転することにつながる。だから、自由に速く走れるサーキットで運転の練習をする。
  速く走ったことのある人は、クルマの運転でやってはいけないこととやらなければならないことを身につけるから、日常の運転に余裕が生まれる。速く走らなくても、クルマが動いている状態がわかるから、運転していて楽しい。

 

 新旧2台のルーテシアも参加。
   

悩みというと怒られそうだが、他のユイレーシングスクールのスクール同様リピーターが多い。少しでも大勢の人に運転の楽しさを味わってもらいたいのだが、基本的な流れは1回参加してくれた人がまた参加してくれる。
  今回のエンジンドライビングレッスンは、いつもより多い5名が初参加。残りはリピーター。中には10回以上参加してくれている人もいる。
  もちろん、中には運転をつきつめることが苦手な人もいるかも知れない。それでも、仕事で、あるいは余暇にクルマを動かすことのある人は、一度安全な環境で速く走ってみることをお勧めしたい。


レッスンが終わって全員集合。心地よい疲労感と達成感とともに笑顔、笑顔。

 

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  我が家のトイレに置くゴミ箱を探しに、信楽の里まで久しぶりにトゥインゴGTの兄弟を連れ出した。ずら~っと並んだ陶器はひとつひとつの表情が全て異なり、選ぶのにたいそう苦労した。それでも10件近くのお店を回ったおかげで、ぴったりの植木鉢を見つけることができた。

 

 大きな狸がお出迎え。少しビックリ。
 

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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
   
■ 7月23日(土)YRSオーバルスクール奥伊吹 案内頁
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=oso

◆ 7月28日(木)YRSドライビングワークショップFSW 案内頁
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=dwf

■ 7月29日(金)YRS + エンジン ドライビングレッスン
エンジン(03-3267-9681)編集部にお問い合わせ下さい。

■ 7月30日(土)YRSオーバルレースFSW 案内頁
http://www.avoc.com/2race/guide.php?c=sr&p=yor

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●クルマはよくできた道具ですから、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第15回 YRSオーバルスクール奥伊吹

  ゴールデンウィーク中の最後の土曜日。奥伊吹スキー場の駐車場でYRSオーバルスクールを開催した。昨年9月に試験的に開催したことはあったが、正式には関西で初めてのYRSドライビングスクール。
  山を切り崩して整地したこの駐車場。地形通りに作られているから、かなり形はいびつ。それでも最も長い部分で175.1m.幅が112.3m(数値は奥伊吹スキー場提供の工事図面から)あるから、走路の幅は多少狭いが富士スピードウエイで開催しているYRSオーバルスクールFSWと同じ大きさのオーバルコースを設定することが可能だ。だから、延べ1,070名のYRSオーバルFSWのデータと比較することができる。
  もちろん。オーバルスクールでは速く走ることだけが目的ではないが、どんなクルマでどんな運転経験のある人が、どのくらいのラップタイムを記録しているのか参考になる。ロードコースとは異なり、ちょっとしたミスでも直接速さに影響するオーバルコースでは、速く走ろうとしても速く走れるわけではない。ラップタイムはあくまでも、1周の間ずっとクルマの性能を引き出す操作ができたかどうかの結果だ。1周のラップタイムが良くても、セッションを通じての平均ラップが遅ければどこかにクルマの性能をスポイルしている部分があるいはずだ。
  高いお金を払って参加してくれる人が、自分なりの目標とテーマを持てるように、この歴代ラップタイムは重要な意味を持つ。

奥伊吹スキー場の駐車場にパイロンでオーバルコースを設置。

  連休中の開催だったので申し込みは低調。1名がクルマのトラブルで不参加だったので最終的に8名で開催。24名までは消化できるカリキュラムなのだが、今回は人数が少ないので大サービス。とにかく徹底的に走り込んでもらった。
  ちなみに、8名中4名が過去にユイレーシングスクールに参加したことがあるのでオーバル走行を経験済み。残りの4名はオーバルコースを見るのも走るのも初めて。

YRSルノー・スポールゼミに参加してくれたWさんも愛車とともに。

  ユイレーシングスクールではYRSオーバルスクールに参加してくれた方が記録したラップタイムを表にして送っている。計測した全てのラップタイム、ベストラップタイム、アベレージラップタイム、ワーストラップタイムをはじき出してある。さらに、ベストとアベレージの差、アベレージとワーストの差も計算してある。どんな表なのかは下の画像を見てほしいのだが、セッションの欄にあるRは右回り、Lは左回りを示している。

<参考>YRSオーバルFSW1733名の記録
http://www.avoc.com/cgi/laptime.cgi?yof,b,01


参加者に送った計測データの1部。

  ユイレーシングスクールでは参加してくれた方に、折りに触れてアンケートを行っている。みなさんがどんな感想を抱いたか知ることによって、カリキュラムの修正や追加をすることができるし、公開することでユイレーシングスクールの有り様もわかって欲しいからだ。
  今回はそのアンケートの回答をそのまま引用する。ユイレーシングスクールの実態に触れてもらえればと思う。

トゥインゴGTもリードフォローで大活躍。

  アンケートの設問は以下の通り。
(1)ユイレーシングスクールのオーバルスクールをどう思われますか?
(2)ユイレーシングスクールの教え方をどう思われますか?
(3)ユイレーシングスクールはあなたの運転の上達に役に立ちましたか?
(4)役に立ったとすればどんなところでしょう?

  少し長くなりますが、以下が参加者からの回答(参加8名中7名が回答)です。設問の番号を回答の頭につけてあります。お名前の後のデータは、参加車両/改造の有無/サーキット走行時間/YRSオーバルスクール参加歴、です。

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○ Tさん GTR/有(サスペンション他)/レース経験/有
(1)昨日はお世話になりました。自分の次のステップが見つかったような気がします。関西ではまだ知名度は低いですが、一見単純な様で実はかなり奥の深いスクールだと思います。スポーツ走行未経験者から上級者まで、根本とするところは同じでもそれぞれのレベルに合った課題を提供してもらえて、その課題をクリアしていく。とても効果のある練習方法だと思います。関東ではリピーターが多い理由が納得できました。
(2)自分は公道での安全な運転技術を学ぶ為にスポーツドライビングを始めたので、自分の考える所とピッタリと合いました。また、あまり語られる事の無かった「ドライビング理論」について、実技を通してここまで詳細に学べる所は無かったのではないでしょうか。
(3)とても役に立ちました。
(4)荷重のコントロールをみっちり練習したことによりイーブンスロットルはひたすら我慢することでは無く、微細な荷重移動を行って積極的に向きを変え、脱出時のアクセルオンの開始位置を手前にすることができました。
今まで自分の車は、トルクバンドがかなり高回転よりになっているので、脱出後にトルクバンドから外れることが多く、車のせいにしていましたが、運転の方法で脱出時にトルクバンドに乗せる方法がある事を知りました。

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○ Yさん スバル ヴィヴィオ/ノーマル/11時間/初めて
(1)単純なコースレイアウトだが、上手に走行するのが中々難しく奥が深い。1日中走っても飽きることなく楽しく走行できた。
(2)ラジオを使用して、その都度指摘してもらえるので、良かった所、悪かった所が印象に残りわかりやすい。
(3)役に立った。
(4)ブレーキ、ハンドル操作等自分の運転の仕方の間違っている箇所がわかった。

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○ Wさん ルノー メガーヌRS/ノーマル/経験なし/初めて
(1)土曜日はとてもよい経験をさせていただきました。どうもありがとうございました。今になって思い返せば、せっかく丁寧なアドバイスを頂いたのに、ガツンとブレーキを踏みグイッとステアリングを切りドカンとアクセルを踏む、全く悪い見本のような走りだったように思います(苦笑)。でも楽しくって(笑)。もう自由に走らせていただいてありがとうございました。
次回はタイムの呪縛から解かれもっとジェントルな運転を身につけるべく周回を重ねたいと思います。ただ今回も、スムーズに周回出来た周の方がギリギリまで頑張った周回よりタイムがよい、ということの片鱗を見たような気はしました。
ホームページの印象からは、理論的な、悪く言えば堅苦しいスクールをイメージしそうですが実際はむしろエモーショナルな、本能に訴えかけるようなスクールでした。それは「内燃機関のおもしろさ」をまず最初に語られたことに通じるように思いました。
(2)今回は参加者の構成に合わせられたのか、理論よりは実践!的な進行だったのでしょうか。確かに運転は実践であることからしても、また私個人的にもたくさん走れて充実の一日でした。ただ、もし可能であれば、自分の走行をビデオで見てそれにコメントをいただく、というような機会があればもっとわかりやすいかなと思いました。もっとも1日のスケジュールでは難しいかもしれませんね。
(3)非常に役に立つと思います。
(4)車と自分の限界付近での挙動を垣間見れたこと、逆に雑多な目的とレベルの混在した一般公道で限界に近づくことの危険性を再認識したこと。思い通りに車をコントロールするためにはやはりそれなりの訓練を積み重ねないと難しいということがよくわかったこと(頭でわかっていてもその通りに行うことは、いろいろと、難しいものですね。精神修養が必要です(笑)そして同じ課題に取り組む他のドライバーの走りを間近にみられたこと。

参加車はGTRからワンボックス、SUV、軽自動車まで多彩。

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○ Fさん シルビア/有(シート)/11時間/初めて
(1)オーバルコース走行により、基本的な動作の確認ができる(悪い部分を確認できる)ので良いと思います。
(2)FMでのリアルタイムな指摘があるのがよいと思います。
(3)役に立つと思います。
(4)タイヤ4輪を使った(安定した)車の動作が重要である点。また、コーナリング出口でのインストラクターのハンドルの戻し方(一気に戻すことで車のロールを消す)が印象的でした。

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○ Hさん スズキ スイフト/有(サスペンション他)/10時間/有
(1)ブレーキング、コーナリングの技術向上、に非常に役に立つと思います。
(2)実際に車を運転しているときに、リアルタイムでアドバイスをいただけるので、その場で悪い操作を修正できる良い指導方法だと思います。
(3)私にとっては非常に役に立ったと思います。
(4)車の挙動や、姿勢をコントロールする方法、スムーズに走る方法など、独学ではまず理解できない事を教えていただきました。まだ、頭では理解できても、体で理解できていないところがあるので、体に覚えさせる練習をしていき、またスクールに参加していきたいと考えています。

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○ Nさん スバル アウトバック/ノーマル/経験なし/初めて
(1)レース経験のない人でも参加できる所が良いと思います。私は友人から教えてもらって参加したのですが、それまでまったくこのスクールの事を知りませんでした。なんとかもっと幅広く宣伝できればもっと参加者が増えると思うのですが・・・
(2)同乗してくれるのが、とても良かったです。運転操作を見ることが出来る機会はなかなか無いので、それを見ることが出来るのは、自分の中でイメージを作りやすかったですね。
(3)とても勉強になりました。だれかに運転を教わるのは、自動車教習所以来です(笑)オーバルということで、複雑な操作が必要なく、反復練習し易かったです。教わった技術は普段の運転時に練習出来るし、その場だけでは終わらないのが良いですね。
(4)特にアクセルワークとステアリング操作の相互関係でしょうか。早めにトラクションをかけることが、安定性に結びつく事は感覚的に解っていますが、より洗練出来そうです。

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○ Hさん トヨタ ノア/ノーマル/2時間/有
(1)ドライビングスキルアップに非常に役立つスクールだと思います。
(2)悪いところをすぐにフィードバックしてもらえるところが良い。それと説明がわかり易いのも良いです。もうひとつ、自分の車を運転してもらえるところがわかりやすくて良いです。
(3) 間違えなく役立ちます。
(4)特にトレイルブレーキングとステアリング操作について役立ちました。

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パイロン、光電管、送信器、机、椅子、パソコン、巻尺などなど。必要な機材を全て積んでもまだ余裕。トゥインゴGT大活躍の図。
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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

□ 5月29日(日) YRSオーバルスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第14回 YRS ルノー・スポールゼミ


YRSルノー・スポールゼミに集まったRS。

このブログでも紹介したように、ルノー・スポールオーナーを対象としたYRSゼミを開催した。開催日がゴールデンウィークの最中だったこともあり参加者は3名。さみしくはあったけれど、それはそれで充実した時間を過ごせた(と思う)。


白がWさんのメガーヌ。

 納車されてから2週間しかたっていない白いメガーヌRSで現れたWさんは、このブログでゼミの開催を知り申し込んでくれた。ごくふつうのセダンや、ごくふつうのSUVを乗り継いできたというWさん。クルマの運転を楽しみたいという思いに駆られて購入を決めたそうな。だから、メガーヌは大切に乗っていきたいと。だから。通勤にクルマを使うのを止め、運動を兼ねて自転車で通っていると言う。
  いいね。こういう話は。クルマとの付き合い方に覚悟がある。クルマさんも幸せだ。

 ユイレーシングスクールの「座学オンCD」も買ってくれたWさん。実は連休中に開催される関西で2回目のYRSオーバルスクール奥伊吹にも参加してくれる。そのWさんからのメール。

  『湖畔のカフェレストランを会場に、様々なエピソードを交えつつお話いただいたドライビング理論の講義は大変充実したものでした。YRSの講義CDにも匹敵するような4時間超にも及ぶ(!)お話の内容は、一度聴いたぐらいでは消化しきれるものではありませんでしたが、その中でも繰り返しお話され印象に残ったのが「走る・曲がる・止まる」を「荷重移動」という観点から連続的なものとしてダイナミックに解説されたことでした。ややもすると「点」でとらえそうになる運転技術を、一連の流れのものとして意識することが、なめらかかつ安全なドライビングにつながるものなのだと理解できました。
 最後に場所を駐車場に移して各自の車でドライビングポジションのチェックを受け、基本的な操作の注意点を説明してもらいました。オーバルスクールまで日常の運転で感じ取るべき宿題もいただき、当日が楽しみになりました。理論の後は実践あるのみと心ははやりますが、本日はここまで。実践は1週間後の奥伊吹オーバルスクールまでお預けです。』


青がUさんのルーテシア。

 マニュアルシフト車は3台目。レガシイB4から乗り換えたというUさんは、ルノー京都の案内を見て参加してくれた。青いルーテシアRSに乗り換えた理由は、試乗した時のカッチリした操作や動きが気に入ったからだとか。昨年7月の納車以来既に1万キロ以上を走行。聞けば、毎日の30キロに及ぶ通勤の足として使っているとのこと。

  いいね。こういう話は。大好きなクルマが日常の生活に溶け込む。クルマさんも幸せだ。

  以下は、YRSオーバルスクール奥伊吹の日が仕事で参加できないUさんからのメール。

  『荷重の話やドライビングポジションの話は日ごろ聞く機会がなかったので、大変勉強になりました。帰路和邇から自宅まで運転する中で今日教わったことを意識しながらステアリングの切り方やアクセルの踏み方を注意すると、車の動きがいつもと違うような感じがしました。今までは漫然と運転することも多かったですが、これからは課題を持って運転していきたいと思います。機会があれば実際のスクールにも参加してみたいと思います。
  今日はヨシダさんの運転するルーテシアRSの助手席に乗せていただいて「こういう風に運転したら良いのか!」と思う点も多く、大変勉強になりました。またこのような機会があれば是非参加させて頂きたいと思います。』

 実はUさんからのメールの中にギアシフトについての質問も含まれていた。ボクのルーテシアに4人乗車でカフェ・スマイルの付近を走り、ユイレーシングスクールシニアインストラクターが公道でどういう運転をするか見てもらったのだが、その操作の方法についての質問だった。
  早速思いつく限りのアドバイスを送ったところ、Uさんからは通勤時に試してみますとの返事。どんな質問で、どんなアドバイスだったかはナ・イ・シ・ョ・だけれど。


銀がボクのルーテシア。

  スバルフォレスターで参加したKさんは、社用車がルノー・カングー。ルノー・スポールでなくてもいいですか、という問い合わせをもらい、ぜひぜひと参加してもらった。
  当日の話の中で、「4本タイヤがついていれば背の高いクルマだって基本的な操作は同じです」、「背の高いクルマだから運転が楽しくないということはありません」、「理由はかくかくしかじかです」と説明すると、次は実際のスクールに参加してくれると約束してくれた。


今回の会場となったカフェ・スマイルの駐車場に羊の皮をかぶった狼が3台。

  ユイレーシングスクールの拠点がまだ完成していない部分もあり、カフェ・スマイルさんに無理を言って関西初のYRSゼミを開催した。拠点が完成すればビジュアルな情報も盛り込んだゼミを開催する予定だ。
 
  最後にもう一度Wさんのメール引用する。

  『さて今回は試験的なカフェでのイベントとのこと。ゴールデンウィーク最初の土曜ということもあってか参加者はやや少なかったようです。ルノースポールをブランドイメージの中心に据えるのであれば、ルノージャポンにも積極的にコミットしていただいて、このようなドライビングスクールを応援していただきたいと、ルノースポールオーナーの一人として感じました。』
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2月のYRS筑波サーキットドライビングスクールに参加してクルマを操る快感の虜になったKさん。4月末に富士スピードウエイで開催したYRSオーバルレースにもはるばる宇都宮から参加してくれた。もちろん。ルーテシアの性能を満喫していたのは言うまでもない。
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 ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

□ 5月29日(日) YRSオーバルスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第13回 クルマの運転は科学だ

富士スピードウエイの周りの桜は散りかけていたが、

それでも桜はいい。

満開の桜には空間を、

地面に舞う花びらには時間を感じる。

 ===> 以下、過去に発行したユイレーシングスクールメールマガジンからの転載 です===>

 ある日のスポーツ新聞に興味深い記事が載っていた。それは競争馬の速さにまつわる話なのだが、クルマの運転ともまんざら関係なくはなさそうだった。筆者は競馬をやらないし見たこともないので、競馬に関しては全くの無知だ。競馬が速さを競うものなのは知っているが、その速さはどうやってはかるものかはわからない。だからあくまでも記事を元にしてしたためてある。

 自動車レース同様に、競馬も当時の裕福な人たちが自慢の馬で速さを競い合ったのが始まりだと言われている。もちろん、その始まりは競馬の方が先なのだが。
  近代競馬の発祥の地はイギリス。有史以前から競馬に似たようなものはあったらしいが、馬を使って純粋な速さを競う近代競馬は16世紀に始まったという記述があるらしい。やがて1620年代。競馬がイギリスの植民地だったアメリカに渡った。現存する記録では1540年にイギリスで世界初の競馬場が建設され競馬が行われ、イギリスの植民地であったアメリカでは1665年に初の常設競馬場が完成したとある。

 イギリスで生まれた競馬だが、当初騎手は馬の背中にべったりと座って乗っていたという。アメリカに渡った競馬は、そこで騎手が中腰で乗る方法があみ出される。その乗り方が革新的だったのか、結果としてレース記録が短縮したと言う。
 1897年。アメリカで生まれた中腰の前傾姿勢で乗馬する方法がイギリスにも普及し、1897年~1910年の間に7%ものレース記録を短縮。アメリカでは1890年から1899年までの間に5%のレース記録が短縮されたとある。
 
  イギリスのロンドン大学の研究チームは乗り方に記録短縮の鍵があるとの仮説を立て、騎手と馬にGPSと慣性センサーを取り付けて計測した。その結果、仮説が正しいものであるとの裏づけを得たという。
  時速約70キロで走る競馬馬の重心移動は上下約15センチ、前後約10センチ。あの巨体がこれだけの重心移動だけで疾走していることにも驚かされるが、これに対し騎手にいたっては上下約6センチ、前後約2センチというごくわずかな重心移動しかしていなかったという。馬の上で騎手が自らの重心移動を少なくすると同時に、馬の重心移動と逆向きの動きで馬の重心移動そのものも軽減し走行を安定させていることがわかった、とあった。
  馬体重は440~552キロ(今年の天皇賞から筆者が引用)。騎手は規定により54~57キロ。10分の一の質量の騎手が馬の上で微妙な重心移動を心がけることにより、馬自体の重心移動が減り馬本来の脚力が発揮された、と見ることはできないか。

 馬は騎手が乗らなければ走らない。馬は当然のことながら、騎手という重量増を抱えて走らなければならない。馬にとっては負担になる。その騎手が乗り方を変えたことにより馬の負担が減り、馬がより速く走れるようになったという話だ。

 それにしても、500キロはある馬にまたがり70キロ近くで走りながら馬の動きに翻弄されることなく、自らの動きを最小限にとどめるのは正直言ってすごい話だと思った。騎手によって馬が速くなるという話を聞いた時に半信半疑だったが、もし仮に騎手の最大の役目が『馬の重心移動の制御』にあるのだとしたら、それは大いにありえる話だ。

 クルマを運転するのは馬を走らせることとは違うが、それぞれの機能を発揮させるという意味では共通したテーマがあるようだ。重心の移動が少ないということをクルマに例えれば、ピッチングが少ないことに置き換えられる。クルマが前後のタイヤのグリップレベルを変化させてアンダーステアやスピンにおちいりバランスを崩すのは、状況としてはクルマがピッチングしているからだ。言うまでもなく、ピッチングはクルマの重心が前後に移動することによって起きる。ピッチングにより前後タイヤのグリップが変化することで、どちらかのタイヤの路面をつかまえる力が不足することが直接の原因だ。

 もし、クルマの重心が動かないように気をつけながら運転したらどうだろう?クルマの場合は馬のように重心の上下動は無視できる範囲だろう。その代わり、クルマを走らせる時にはヨーモーメントの発生が不可欠になる。それでもできるだけ重心が動かないような操作に集中すれば。

  もちろん、加速、減速、旋回を繰りかえすクルマは、ある瞬間には大きな重心移動が起きていて不思議ではない。ただその重心移動がふたつ以上重なるとクルマはバランスを崩しやすくなる。スクールで「トランジッションを意識して」と口を酸っぱくして言うのも、別の言い方をすれば「操作を重ねないで下さい」、という意味だ。

  『クルマがある動きして重心が移動したらその移動した重心を元の位置に戻すような操作をして、あるいは重心が元に戻るのを待ってから次の操作をする。クルマを安定させるためにはそんなイメージが大切だ』。こじつけに近いかも知れないが、的外れでもないだろう。次のスクールではそんなアドバイスをしてみるのも悪くはないな、とあれこれ想像しながらスポーツ紙の小さな囲み記事を何度も読み直した。

【余話】
  近代競馬の発祥の地はイギリスだが、自動車のオーバルレーシングが生まれたのはアメリカだ。1896年9月7日。ニューヨーク郊外ロードアイランドにある1周1マイルの競馬場を使って初めての自動車レースが開催された。イギリスより先にオーバルコースで自動車レースが行われた。自動車の国アメリカならではの話だ。
  同じ楕円形のコースを使う競技だが、競馬のようにオーバルレーシングが全世界に普及するようなことはなく、カナダとオーストラリアで開催されているのが現状だ。
  アメリカのオーバルレーシングには様々な形態がある。大別すればインディ500に代表されるオープンホイールレーシングとデイトナ500が有名なストックカーレーシングだ。コースにいたっては、1周320mのダートコースから2.66Kmのスーパースピードウエイまで多様。全米に1,000ヶ所以上のオーバルコースがある。
 
  アメリカでは全てのオーバルレーシングが左回りで行われる。最初に競馬場でレースを行うことになった時、競馬場の馬をつないでおくピットが走路に対して斜め左を向いていた。当時のアメリカの競馬が左回りで行われていたからだという。ピットに入れるのが馬ではなく自動車になっても、便宜上同じ方向に走ったのでアメリカのオーバルレーシングは左回りになったのだとものの本には書いてある。
  カナダのオーバルレーシングは左回りだが、オーストラリアのそれは右回り。オーストラリアが長く競馬発祥の地イギリスの植民地であったことに関係があるのか、左側通行だからなのかは調べていないのでわからない。
  ちなみに、ツインリンクもてぎにある1周2.4Kmのスーパースピードウエイ。日本で唯一のオーバルコースも左回りで使われている。しかし日本で売られている自動車が右ハンドルなので、運転する人がコーナーの内側にくるように右回りも計画段階から考えられていた。そのためコースにある信号機が回転軸に取り付けられていて反転するようになっていて、左回りでも右回りでも対処できるようになっている。

                                           <=== ここまで転載 <===

  最近、テレビでやっている競馬のCMをご覧になった方もいるだろう。疾走している競馬馬を横から撮ったものだ。ボクは見るたびに、その美しさに感動している。

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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

□ 5月29日(日) YRSオーバルスクールFSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマが好きな人には一生ものの5時間34分です。
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第12回 オイル交換

  琵琶湖の西岸。比良山のふもとに拠点を移してから、相変わらず大津市と関東をクルマで往復する生活が続いている。最低でも月に1回、多い時は3回。それがドライビングスクールの開催であればトゥインゴの出番だ。
  当然高速道路を使うのだが、そんな時にトゥインゴGTが大活躍。自宅から御殿場インターチェンジまでちょうど440キロあるのだが、それをノンストップで走っても疲れない。流れをリードするペースで走っても、燃費はリッター15キロを割ることはない。
 
  走っている間は他にすることがないので考えてみた。どちらかというとクルマにはギアシフトが欠かせないとかたくなに思っている部類に属するのだが、トゥインゴGTだとその回数が極端に少なくなる。もともと回転ではなくてトルクで走るタイプの動力性能を備えるから、シフトダウンの必要性は高くない。初めのうちは長年の癖で左手が勝手に動いてしまっていたのだが、5速に入れっぱなしでも痛痒を感じることが少ないのが身にしみると、しだいにズボラになってきた。それではいけない、と言う自分がどこかにいるのだが・・・。
  なりいきで運転すると集中力を欠くようで生理的に受け付けないところがあったのだが、手抜きに慣れると、それはそれでいいのかも知れないと思えるようになった。それが疲れない原因なのかも知れない。

  少なくとも、今のところ長距離の移動が億劫ではなく、むしろ楽しいのはトゥインゴも一役かっている。
  と言うことで、当初の予定より遅れてしまったが、よく働いてくれる相棒をいたわることにした。


京都にあるルノー京都CADONOに到着。

  トゥインゴGTには純正で合成油が使われていると言う。いつのころか、確かあれはモービルが最初に合成油を発売したのだと記憶するが、エンジンオイルと言えば鉱物油か植物油しかなかった時代を知っている人間には、いまだに合成油を使うことに抵抗がある。
  含浸と言うらしいが、鉱物油は金属によくなじむ(浸透する)ので油膜が切れにくいという話を昔聞いたことがあるからだろう。
  とは言ってもメーカーが指定しているのだからクルマに悪いはずもなく、今回はモチュールを選びオイルフィルターと一緒に交換してもらった。


リフトアップされた相棒を下から見せてもらう。もちろん工場の許可を得た上でだ。


初めて見るトゥインゴGTの下回り。
フロントサスペンションのロアアームはIアームではなくてAアームだった。
エキゾーストパイプが1,200ccにしては太め、かな。


オドメーターが8,000キロを超えていたこともあり、抜いたオイルは若干疲れ気味。
とは言え、スクールカーのフィットやロードスターよりはましなほう。

  初回点検も同時にしてくれたが、どこも異常なし。次の出番は4月末の富士スピードウエイで開催するYRSドライビングスクール,
  YRSオーバルスクール。5月7日に奥伊吹スキー場で2回目の開催となるYRSオーバルスクール奥伊吹だ。


蓬莱山を仰ぎながら湖西道路を走る。山々もそろそろ春のよそおい。

  ところで。ユイレーシングスクールでは4月30日(土)に琵琶湖のほとりにあるカフェ・スマイルで、ルノー・スポールオーナーを対象としたYRSドライビングゼミを開催します。時間は午後4時から8時まで。カフェスマイルの美味しい料理を食べながら、どうすればルノー・スポールの性能を引き出すことができるか、安全に快適にクルマを操るコツをお話します。会費は食事と飲み物がついて4,000円。定員は10名です。ルノー・スポールをイキイキと走らせたい方はぜひご参加下さい。

・YRSルノー・スポールゼミ 案内頁
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=y-rs


今回のルノー・スポールゼミの会場。琵琶湖畔にたたずむカフェ・スマイル。
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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
   
◆ 4月22日(金) YRSドライビングスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=fds

□ 4月24日(日) YRSオーバルスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

◇ 5月7日(土) YRSオーバルスクール奥伊吹
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=oso

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/