トム ヨシダブログ


第455回 Sさんの場合

1月のYRSオーバルスクールFSWに初めて申し込んでくれたSさん。あいにく雪で中止になり、振り替えでYRSオーバルスクールFSWロンガーに来てくれた。少しばかり早く帰られたので感想をお聞かせ下さいとお願いしておいたら早速メールが。

今回、初参加でオーバルロンガーに参加させていただきました。
アルピーヌに乗り換えるまでサーキットから3年ほど離れたいたので感覚を掴むために今回受講させていただきました。座学では丁寧に疑問点に答えていただいた後、実践すべく走行開始です。
オーバルを走るのは初めてでしたので戸惑いながらの走行でしたがFMラジオでアドバイス頂いたり同乗走行を参考にしながら1日しっかり走り込むことができました。タイヤをハイグリップラジアルに交換していたのでシャーシが負けるかなと思ってましたがどこまでもコントローラブルでいい車だなと再認識しました。機会があればまたよろしくお願いいたします。

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ロータスエリーゼ
ロータスエクシージと
ミッドシップを乗り継いできたSさん

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YRSオーバルが初めてのSさんを横に
SさんのA110を借りてデモラン
パンクしたのを機にハイグリップタイヤに換えたSさん
足の動きに違和感はなかった
さすがダブルウィッシュボーンサスペンション

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YRSオーバルFSWロンガーの上のコーナーを立ち上がるSさん

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YRSオーバルFSWロンガーの下のコーナーを立ち上がるSさん
左前が若干沈んでいるのは下のコーナーがかなりの登りだから


SさんのA110がYRSオーバルFSWロンガーの下のコーナーを攻めます

※ IE(Internet Explorer)でビデオを視聴するのが困難なようです。Chromeやsafari、Firefoxなどのブラウザをご利用下さい

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加速中にテールスクワットのA110
ディフューザーが見える

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荷重移動でノーズダイブのA110
これだけ姿勢が変わっても4輪の接地感は不変なのだからA110はたいしたクルマだ


Sさん、また遊びに来て下さい。



第449回 アルピーヌA110の感想 オーバルスクール編 4/4

IMG_01272日間とも天気に恵まれ寒くもなく絶好のドライビング日和
ふだんのスクールだと車談議に花が咲いたりするのだけど
この2日間は
他人が走っている時も参加者全員の目がオーバルコースを走る2台のA110に
参加者全員が濃密な時間を過ごすことができました
アルピーヌ・ジャポンに心から感謝です


昨年YRSオーバルスクール+アルピーヌA110体験試乗に参加された方の感想文の最終回です。

※ 名前の後は、過去にYRSオーバルスクール参加の有無/所有車名/改造の有無/数字は改造度を示します。4からショック変更、5以上がスプリング変更で7以上が車高調装着です。


17Tさん(初/ルノールーテシアRSトロフィー/無/0)
ルーテシアRSとA110の違いは、当然ながらFFとMRの違いがあるので、前輪が操舵と駆動2つの役割がありコーナー出口でアクセルを開けるタイミングがFFとMRでは違う気がしました。また、MRは前輪の役割が一つのため、ステアリングからのインフォメーションが複雑ではないため、集中しやすいと感じました。
ピュアとリネージの違いはシフトアップのスピードが違う気がしました。それによって軽さがより際立っている気がします。またピュアの方がタイヤのたわみが少なく反応がリニアに感じました。
A110の方が車からのインフォメーションが多いため、諸々の運転の準備(操作の準備の意)がしやすく結果として安心して走らせることができたと思います。
車と対話しながら走ることの重要性をはっきりとこのスクールで再確認しました。また時間を作ってきます。

18aYさん(有/ロータスエリーゼ/有/8)
ロータスエリーゼとの比較
一番違いを感じたのはステアリングです。どっちもよく曲がるのですが、エリーゼではパワステが付いてないので、路面の状態やグリップの感覚がダイレクトに伝わってくるので安心感は高いように感じました。
次はエンジンの吹け上がりで、これは圧倒的にアルピーヌが軽やかで速いと感じました。
それと気になったのがパドルシフトのタイムラグです。マニュアルシフトよりは楽で確実でトータル時間は短いと思いますが、パドルを引いてから少しだけ間が空くのが気になります。他を知らないのでこれでも十分に速いのかもしれません。
全体的な印象は、早くて軽くてよく曲がり、普段使いからワインディングロード、サーキットまでこなせるすごく楽しい車でした。

19aGさん(有/ロードスター NB6C NR-A/無/0)
NBロードスターとの比較
①リネージ。まず労せず曲がるハンドリングに驚きました。ヨーセンターが車の中心にあるのが感じ易く、コーナリング中のアクセルON-OFFに連動してヨーセンターが前後に移動=旋回半径が広がる-小さくなるのが良く判る。NBだとそれを狙っても上手く出来ないのは何故だろう?またブレーキのタッチもカッチリしており、薄いブレーキがやり易いのも労せず曲がるハンドリングに貢献しているのかもしれない。外から見ているとそれなりにロール/ピッチして見えるのに、自分で運転している分にはそれらはあまり感じられず、上手く仕立て上げられたサスペンションだなと感じると共に、旋回中も4輪がベッタリ路面を捉え続ける濃厚な接地感に思わず「すげぇ!」と声が出た。ATの変速も素早く、減速-旋回時にも違和感無くシフトダウンが完了し、何時でも欲しい駆動力が得られる為、あえてパドルシフトの必要性は感じなかった。
②ピュア。右ハンドル化でブレーキのタッチが若干緩く感じるけど、慣れた右ハンドルで運転に余裕が出るのを感じる。総じてNB比、乗りやすく安心感に包まれつつ限界走行を楽しめる車だなと思いました。

YRS2Mさん(有/ポルシェ ケイマン 2.7/無/0)
乗らなければよかった。
スポーツカーのスタンダードを1回味わわなければという思いで981ケイマンに乗り換えたのにそれ以上のスポーツカーがあった。
同じ MRレイアウトではあるものの、車重が300kg軽く、ターンインから脱出までアルピーヌの方が自由度が高い。(ケイマンはターンインで失敗するとリカバリーが難しいが、アルピーヌはライン取りの自由度も含めいろいろ応用が利きそう)
ピュアとリネージの違いはさほど感じなかったが、リネージの方が若干コーナー中のグリップ感が強く感じた。
スマホでラップを測るよこしまなこともしたが、午前中の自車のベストが左回りで20.5秒、右回りのピュアが21.1秒、左回りのリネージが21.5秒。 パフォーマンス、乗りやすさもアルピーヌが上と感じた。


感想文を書いて下さったYRSオーバルレースとYRSオーバルスクールに参加のみなさんにお礼を申し上げます。


< 了 >



第448回 アルピーヌA110の感想 オーバルスクール編 3/4

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半径22m直線130mのYRSオーバルFSWロングを走るリネージとピュア
下のコーナーは路面が進行方向に傾斜しているので
ターンイン後にアンダーステアが顔を出しやすい
A110のリニアリティ抜群のブレーキを引きずりフロントのロールを制御
同時にリアタイヤのスリップアングルを増やして
ヨーモーメントの中心をホイールベース間に持ってくる
理論的な操作に正確に応えてくれるA110は優等生


昨年YRSオーバルスクール+アルピーヌA110体験試乗に参加された方の感想文の第3弾です。

※ 名前の後は、過去にYRSオーバルスクール参加の有無/所有車名/改造の有無/数字は改造度を示します。4からショック変更、5以上がスプリング変更で7以上が車高調装着です。

12Hさん(初/ポルシェ986ボクスター/無/0)
986ボクスターとの比較
ボクスターとの違いは真っ先に軽やかさから感じました。出だしはもちろん、コーナーで最もステアリングを切り込んだときも、体に感じる慣性力を小さく感じました。(その時の速度やシートへの着座姿勢もあるでしょうが)
最初リネージに乗り、次にピュアに乗って多少慣れたのもあったかもしれませんが、ピュアの方が車体の姿勢変化をはっきり感じられ、減速と加速操作をラフに行ってしまったときの反応がよくわかりました。
ボクスターより明らかに良く足が動き姿勢が変わる感じですが、外に振られるというよりは、それによってしっかり路面に食らいついている感じを受け、ライントレース性が 高いというのか、オンザレール感が強い印象を受けました。

13aUさん(有/マツダロードスターNB8C/有/4)
自分はマツダロードスター NB に乗ってスクールに参加していますが、 試乗後ロードスターより軽いのではないかと思うくらい軽やかにコーナーをクリアできたことに驚かされました。2台とも車体の軽さと足の接地感が自分にでもわかるくらいハイレベルで、コーナリング中の姿勢が安定していることに一番感動しました。トムさんが足が柔らかくロールしてタイヤを接地させていると説明されていましたが、十分速度を落としてコーナンに進入さえすれば、ロール、ピッチングの動きが自然で分かりやすく、コーナーの中でも自由自在にラインを変えられるような不思議な体験でした。また現在の高性能車としてはそれほどハイパワーではありませんが軽さが効いているのか十分でした。本当にA110はコーナーが楽しくなる車です。1回目の試乗を終えてトムさんが言われたように、こんな車は今後現れないと言う言葉に頷けました。

14aTさん(初/メガーヌ3RS/有/9)
アルピーヌ試乗の感想
グレーのリネージ は、ひとつ上のタイヤのグレードで走っているような接地の確かさを感じた。ステアリングの10分(50分)から20分くらいの位置まで気持ちよく切り込めてノーズが入っていく。対してブルーのピュアは足の動き(ロール)がよくわかり前後左右の動きにステアリングとアクセル操作を合わせやすい。
2台に共通して言えるのは、運転中にどこにも重量物を感じない軽快さが、コーナー中盤から 仕上げに向けて、山の斜面を切り上がるような感覚で駆け抜けられる。

15aUさん(有/ルーテシア2RS/有/1)
ルーテシア2 R S との比較
・初めに気がついたのがノーズの軽さ。ステアリングがクイックに感じました。
・その次に気づいたのがアクセルレスポンスが良いこと。イーブンスロットル時に意思通りに反応してくれるのでコントロールしやすかった。またイーブンスロットル時の姿勢も安定していて安心感があった。
・加速時のトルク感は当然大きく異なるのですが、加速の時にも車体の軽さが実感できました。
・ただし最近の車に不慣れなため、電気仕掛けのスイッチ 類や DCTの扱いには少し戸惑ってしまいました。 MT のアルピーヌにも乗ってみたい。

16aYさん(有/ルノー・メガーヌRS/有/3)
アルピーヌに乗った単純な感想は、速い、軽い、曲がる。
午前中、自車を持っていた感覚のままでは、速度が出過ぎており、結果的に突っ込みすぎてしまう。2回目の試乗では、気持ちに余裕もあり車の姿勢を意識して運転できたように思う。自車(メガーヌ4 RS) と比較すると、同じエンジンとは思えない軽い吹け上がりに驚く。シフトスピードも桁違いに速い。
自車との動きの比較については、とにかく操作に対する車の反応が早い。アクセルのオンオフ、ステアリング操作、ブレーキ。
運転手が不器用なので、簡単には思うようには動かせなさそうだが、スポーツ走行には非常に適した車両であると感じる。
実は過去にトヨタ MR 2( SW 20)を所有し、スポーツ走行を楽しんでいたが、同じミッドシップレイアウトながら全く動きの異なる車であることを感じた。
メガーヌ購入の際、アルピーヌの購入も検討していた。最終的には、使い勝手の面で、我が家には適さないと判断して見送った経緯がある。もし2台保有できる環境になったら是非所有したいと思う1台です


< 続 >



第436回 A110跳ぶ

アルピーヌA110 半径22m直線130m幅員14mのYRSオーバルFSWロング

※ IE(Internet Explorer)でビデオを視聴するのが困難なようです。Chromeやsafari、Firefoxなどのブラウザをご利用下さい



第434回 速報:A110の足はすごい を実感

ユイレーシングスクール20周年特別企画と題して行ったアルピーヌA110体験走行。YRSオーバルレースに20名、YRSオーバルスクールに19名が参加した。アルピーヌ・ジャポンのご厚意で実現したこの企画。全員がA110ピュアとA110リネージをYRSオーバルコースFSWロングで味わい、走行後はみんなが笑顔。

当日体験した人全員に代わりこのような機会を提供してくれたアルピーヌ・ジャポンに感謝です。

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YRSオーバルスクールに参加したルノー仲間と
写真左からUさんのルーテシアⅡRS
TさんのメガーヌⅢRS
ボクとルーテシアⅣRSトロフィー
A110リネージとA110ピュア
TさんのルーテシアⅣRSトロフィー
YさんのメガーヌⅣRS
スタッフYとルーテシアⅢRS



第429回 アルピーヌA110に乗ってみませんか

まもなくユイレーシングスクールは開校以来20年を迎える。20年は長い。クルマ自体もクルマを取り巻く環境も変わった。それでも、昔と変わらずクルマが好きで、クルマの運転が好きな人がユイレーシングスクールを訪ねて来てくれる。時代が変わろうと、自分を乗せたクルマを思い通りに動かしたいと希求する人の気持ちは不変だ。

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さて、ユイレーシングスクール20周年を機に、アルピーヌ・ジャポンはボクがいたく感銘を受けたアルピーヌA110をユイレーシングスクール受講生が味わう機会を創ってくれた。A110ピュアとA110リネージの2台を11月30日(土)開催のYRSオーバルレースFSWと、12月1日(日)開催のYRSオーバルスクールFSWの参加者に味わってもらえることになった。

ユイレーシングスクール20周年特別企画と題する今回のスクール。両日とも通常のカリキュラムは午前中で終了し、午後からはA110試乗後に愛車との違いを感想文にしたためてもらえる方に、半径22m直線130m幅員14mのYRSオーバルロングでA110の卓越した足回りを味わってもらう手はずになっている。

YRSオーバルレースFSWはYRSオーバルスクールFSW卒業生が対象ですが、YRSオーバルスクールFSWはどなたでも参加可能です。
ユイレーシングスクールオリジナルのオーバルコースでアルピーヌA110のロードホールディングを味わってみて下さい。

※開催案内の頁の下のほうに申し込みフォームへのリンクがあります。申し込みフォームに記入して送信して下さい。申し込み締め切りは11月22日(金)です。申し込みが定員20名(両日とも)を超えた場合は抽選の上で参加者を決めさせていただきます。ご了承下さい。



第424回 エンジン12月号

エンジン12月号に先日FSWショートコースで行われたエンジンドライビングレッスン特別編+アルピーヌの模体験走行の模様が。

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エンジン12月号表紙

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見開きで紹介されました

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申し込み多数ゆえ抽選で参加者を決めたとか
競争率2.5倍の狭き門をくぐった20名の方々
みなさんはやる気まんまん

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同じ号には今年最後のエンジンドライビングレッスンの記念写真も
来年も3回開催されます


同じ日に開催されたアルピーヌドライビングレッスンに参加されたみなさん。コーナリングの練習にうってつけの YRSオーバルスクール においで下さい。A110の卓越した足回りを存分に味わえます。

またアルピーヌドライビングレッスンやりたいですね!



第418回 アルピーヌドライビングレッスン

秋晴れの一日。アルピーヌA110が富士スピードウエイのショートコースを走り回った。

この日。午前中にエンジンドライビングレッスン特別編とその参加者を対象としたA110試乗会を開催。午後にはA110ユーザーを対象としたドライビングレッスンを開催した。

遠く宮崎からの参加者を含め27歳から72歳まで12名のユーザーがアルピーヌドライビングレッスンに参加。コースを歩き、座学で操作の基本を学び、リードフォローでコースに慣れると、サーキット走行の経験のない方もレース経験のある方に引けを取らないほどの走りを見せていた。

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座学ではタイヤのグリップの使い方を中心にビークルダイナミックスを解説
アルピーヌA110のサスペンションがなぜダブルウィッシュボーン式なのかも説明

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リードカーの助手席には参加者のお連れの方を乗せてコース案内

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アルピーヌA110が5%勾配のストレートを駆け下る

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参加者全員で記念撮影

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この日集まったA110を並べて再び記念撮影


19名のエンジンドライビングレッスン参加者もアルピーヌドライビングレッスン参加者も、サーキット走行を通じてA110の軽さを大いに満喫した一日でした。


第378回 阿讃サーキット

昨年に続きテクニカルノートの寺内さんが、5月3日のルノークラブ走行会で撮影した写真と動画を送ってくれたので紹介します。

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阿讃サーキット全景


1コーナーにアプローチする2台のA110


1周1,004mの阿讃サーキットを俯瞰します


阿産サーキットの最終コーナーを上空から


※ IE(Internet Explorer)でビデオを視聴するのが困難なようです。Chromeやsafari、Firefoxなどのブラウザをご利用下さい



第374回 慣性力を制御する

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しばらく走ってから一宮さんに取ってもらった写真
どうしてもほほが緩むというもの


オーナーに助手席に乗ってもらいインストラクターの運転を観察してもらう同乗走行もカリキュラムの一部。ドライビングスクールを20年近くやっていると同乗したクルマは数知れず、なんてものではなく、その種類も膨大で、「このクルマはここがいいね」とか「このクルマの特長はこれだね」とか、価格とは関係なく、瞬時にそのクルマの持ち味を見切る目は確かだと自負している。
A110と同じタイプならポルシェのボクスター/ケイマン、ロータスのエリート/エキシージのほとんど全てのバリエーションに乗ったし、新旧NSXもアルファロメをの4Cも限界まで攻めたことがある。いくつかのフェラーリ群やランボルギーニ群も体験済みだ。
運転が好きな人間にとっては高性能スポーツカーは魅力的に映るだろうし、経済的に問題がなければ、現在ではとんでもない動力性能と操縦性能を備えたクルマでも手に入れることができる。そういう意味で、出費をいとわなければクルマ好きにとっては恵まれた時代なのかも知れない。

ただ、運転大好き人間の、私的な好みと思想からすると、クルマを評価する時の最大のポイントは軽さと適度な大きさになる。

物を動かすのにも、物を止めるのにも力が必要になる。そして、物が重いほど大きな力が必要になる。つまり軽ければ小さな力でも物を動かすことができるわけだ。加速と減速を繰り返すクルマにあって、駆動力と制動力に有利に働く軽さは大きなアドバンテージだ。旋回中のクルマには遠心力が働く。遠心力は重さと速度の自乗に比例して大きくなる。同じような性能のタイヤを履いた同じような性能のクルマが2台あったら、軽いクルマのほうが安全に高い速度でコーナリングできることになる。

不遜であることを承知で言わせてもらえば、1トンちょっとの車重に押さえたA110を作った方たちも同じようなことを考えていたのではないのかな、と。

で、四国の山道。「前後のオーバーハングがなくて自分の背中に自転軸があるような曲がり方するよね」、「ブレーキがオーバーにアシストされていないのがいいしイニシャルストロークがカチッとしているのは嬉しいねぇ」、「ダブルウィッショボーンサスペンションって足がよく動いてるってわかるんだよな」、「アンチダイブ/アンチスクワットジェオメトリーになっているのかピッチングが抑えられている気がする」、「背中を押さてのけぞる加速と言うよりクルマが周りの空気と一緒に路面に平行に速度を増す感じだな」。頭の中でブツブツ言いながらA110を味見した。


同乗走行でオーナーから「どうですかこのクルマ?」と聞かれることがある。そんな時はあくまでも自分が経験した範囲での個人的な印象ですが、と断った上で寸評をお話しする。今回、このブログを書きながら、A110のオーナーがユイレーシングスクールに参加して感想を聞かれたら何と答えるだろうかと考えた。

軽さが最大の利点なのは間違いないのだが、「軽いですねぇ」 だけでは感じたものを表現できるわけもなく、オーナーもピンとこないだろうし、軽いことのメリットを羅列しても、それはそれで全体像にはつながらないわけで、 何度も何度も写真を見返した結果、たどりついたのが 『 A110ば慣性力の制御に長けたクルマ 』 という表現。 「加速、減速、旋回の全てにおいて、運転手の入力に対して寸分たがわずに反応し、否、運転手の意識を代弁するかのごとく反応し、運転がわかっている人には涙もののふるまいをするクルマです。運転手を育てるクルマかも知れませんね」というようなことを伝えたいと思った。 『 今ボクが最も手に入れたいクルマですね 』 とも。


A110とは何の脈絡もないけれど、下の写真は軽さという共通項があるので引っ張り出したNA6ロードスターのレース仕様。ユイレーシングスクールの卒業生(スクールを受講した人の意)とレースに出場しようと作りあげた。テーマはとにかく軽く、風の当たるマシン。一応、アメリカのSCCAの車両規則でEプロダクションに合致しているから、SCCAカリフォルニアリージョンに持っていけばレースに参加できる。
とにかく軽量化を最大の目標にして、ウインドスクリーンはとっ外してボンネットはFRP製に置き換えドアは外板だけのペラペラ、前後のオーバーフェンダーもアメリカから持ってきたFRP製。前後のダブルウィッシュボーンサスペンションの付け根までロールケージを伸ばしてショックタワーを補強したからシャーシ剛性は十分で不要なボディ部材はことごとく切除。ブレーキもフロント4ポット、リア2ポットの対抗ピストンにしてバランスバー付きダブルマスターシリンダーでノンパワーのアルミ製ペダルアッシーに。ブレーキラインはもちろんステインレスブレイデッド。リトラクタブルヘッドライトのカバーの下はがらんどうだし。とにかく機能部品以外は全て外そうと考えられることを全てやった結果、限りなく目標の900Kgの車重に近づけることができた。
最初から積まれていたエンジンが1.6リッターでエアクリーナーを変更しただけの状態なのに、その加速と加速感は2クラス上のよう。前後オーバーハングの重量を削ったから回頭性が抜群になって、昔から信じていた『 クルマが軽いということはいいことなのだ 』 を証明することができた。だからこそ今、A110の出現がどれだけの意味を持つかがわかる。

A110が現れて、A110に乗ってみて、自分の意識と思想が認められたようで、この上なく嬉しい。自画自賛ではあるけれど。

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A110ピュア。ディフューザー、エアインテイクなどがお飾りではなく、機能がデザインと融合でいいじゃないか。鍛造ホイールもシンプルで軽そう。シートも気に入った。全体のシルエットもこれはもうたまらない。アルピーヌ徳島で購入された方は通勤に使っている人が多いという。なんという幸せ者。

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